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カテゴリ:企業再生

「民事再生法」適用企業の追跡調査 (東京商工リサーチ)

 

民事再生法は、使い勝手のよい再建型倒産法として2000年に制定された法律です。当時、再建型法的スキームが限定的だったことから、主に中小企業の再生に用いられることを想定して、和議法に代わる再建型法的スキームとして大きな期待が寄せられました。実際、使い勝手の良さから、中小企業のみなら上場企業その他の大企業にも適用されていきました。最近では、自動車エアバック最大手「タカタ(東証1部7312)」が2017年6月に民事再生法の適用申請をしています。

 

「民事再生法」適用企業の追跡調査 (2000年度-2015年度)

 

この民事再生法の適用会社の追跡調査を東京商工リサーチが実施しています。施行から約15年、民事再生法適用会社はその後、どうなったのでしょうか?

 

(東京商工リサーチ「民事再生法」適用企業の追跡調査 より)

 

民事再生法施行後、手続のスピードアップ適用申請数の減少がみられます。適用申請の減少は、東京商工リサーチの調査でも指摘していますが、事業再生ADRや地域経済活性化支援機構、中小企業再生支援協議会など、再建型の倒産法以外の事業再生手法といった代替策の広がりも背景にあると思います。

 

民事再生法の適用申請後、「開始決定」が下りた企業の割合は96.1%と高く、適用申請をした場合そのほとんどが裁判所の開始決定を得ています。一方で、民事再生手続の中で「廃止」(破産移行を含む)」は23.3%になっていますが、少なくとも76%前後の会社は、再生計画に従って、大幅にカットされた再生債務を弁済しながら再生手続きによって企業再生を名目指していることになります。

 

民事再生法申請後の消滅率は70.9%

 

この調査のスゴイところは、民事再生法適用会社のその後の事業継続を確認していることにあります。というのは、民事再生法下では、再生計画の弁済途中であっても認可決定から3年すると自動的に「終結」決定がされるので、再生計画どおりに会社が再建したかどうかが不明なのです。その結果は、「7,341社のうち、2016年8月末時点で事業継続を確認できない企業(消滅企業)は5,205社あり、全体の7割(70.9%)を占めた。」です。その内訳をみると「民事再生「終結」前に消滅した企業は2,216社(構成比42.5%)、民事再生「終結」後に消滅した企業は2,989社(同57.4%)で、民事再生の「終結」で裁判所の監督が外れてからの消滅が6割近くを占めた。」とあります。再生計画に従っての企業再生がいかに困難かを示す厳しい調査結果です。

 

この調査レポートは、「今回の調査で、民事再生法を申請しても生存できる企業(生存企業率)は29.1%と3割に満たないことがわかった。申請前にスポンサー候補や事業譲渡先を決定し、申請後の清算を前提に再生手続に入る「清算型民事再生」などで消滅する企業もあるためだ。だが、大半は民事再生の手続半ばで消滅しており、70.9%の企業が再生手続の申請後に消滅している。中小企業は二極化が拡大し、事業再生の手助けへのニーズが高まっている。だが、ビジネスモデルに行き詰まった企業には厳しい現実が待ち受けているのも事実だ。事業再生を促す手立てはあっても、経営者自ら真剣に取り組まないと決して平坦でないことを認識すべきだろう。」と締めくくっています。

 

民事再生法による法的スキームであれ、事業再生ADRや他の事業再生手法であれ、既存債務のカットは出来ても、既存ビジネスでどのように営業利益を出していくのか、新規資金調達していくのか等はその後の会社経営に依存します。それを破綻状態に追い込んだ旧経営陣に期待するDIP型の企業再生は、ここに大きな問題点があると私は考えています。

 

セカンド・オピニオン株式会社 代表取締役
企業再生人® 小澤隆