企業再生人®ブログ

 
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カテゴリ:企業再生

人件費の概算計算と法定福利費

 

ラフな事業計画を作成するとき、私は人件費を給与額面×125%~130%で計算しています。給与額面の他、残業代・法定福利費・交通費は必須の費用です。幅があるのは、残業代のぶれ幅の他、会社の制度によっては厚生年金基金や退職金等の付加的要素があるからです。

 

企業再生の序盤では、費用項目の中で一番大きな固定費である人件費の見直しは必須です。ここを見直しせず他の費用項目削減で損益改善が図れれば最善ですが、既にキャッシュの枯渇と時間のない状況では現実的ではありません。勿論、人件費削減に手を付けないうちに別の手を打てれば良いですが、人件費削減に手を付けないといけない際に優柔不断に先延ばしにしてしまい破綻してしまうのも避けるべきだと思います。

 

ただ忘れてならないのは、削減した人件費を恒久的に考えた事業計画を描かないことです。最低限、その会社の属する業界の平均給与を上回る給与水準になる事業計画を目指します。そうでなければ、再建後の会社に対する夢や希望を従業員に語れないからです。最初から削減した給与を固定化しなければその会社が生き残れない状況であれば、むしろ事業停止してしまった方が良いとすら過激に考えています。

 

法定福利費とは?

 

法定福利費とは「会社が負担する、法律で定められている福利厚生に関する保険料」を意味していて、具体的には健康保険料や厚生年金保険料等を指します。給与明細を見ると、税金以外に多くの控除項目があります。従業員視点でのみ給与明細を眺めていると、「手取りって少なくなるなぁ」としか思わないのではないでしょうか?良く見てみると、多くの場合、税金(所得税・地方税)よりも社会保険料の方が金額が多いですよね?

 

ここで社会保険の一覧と負担料率をみてみましょう。(実際には都道府県や業種によって差があるのですが、合計でも±1%未満の差です。)

 

 

社会保険料は会社(事業主)と個人(被雇用者)がほぼ折半して負担しています。その料率は合計約31%強、これをほぼ折半して会社が16%、個人が15%を負担しています。例えば、年収額面500万円なら社会保険料合計156万円以上です! また会社負担額は約80万円になります。つまり、額面500万円の給与を従業員に払おうとすると、会社は法定福利費込みで580万円の費用負担が必要となり、受け取る従業員は法定福利費控除後で424万円になっているのです。ここから更に所得税・地方税が控除されて手取りは更に減っていきます。

 

話が逸れますが、自分の手取り給与が少ないので独立を考える場合、同水準の手取りを確保するならこの社会保険料会社負担分を頭に入れるのを忘れてはイケマセン。また派遣会社に登録している場合も同じで、派遣会社に支払う料金にはこの法定福利費が含まれているので、「暴利を貪っている」と誤解する前に一度計算してみましょう。

 

さて、法定福利費の負担割合はいかがでしたか?予想以上に大きな金額で驚いたのではないでしょうか?資金繰りに窮余した会社では、社会保険料の金額は税金以上に大きく、また国税より徴収圧力が緩い(赤字だとそもそも消費税以外の大きな税額が発生しません)ので、かなりの割合で滞納しがちです。このため、社会保険料と税金の徴収を一体化する議論が常にあるのですが、財務省と厚生労働省の縦割り行政の中では当面実現しそうもありません。

 

セカンド・オピニオン株式会社 代表取締役
企業再生人® 小澤隆