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カテゴリ:企業再生

企業再生投資③ 公認会計士と企業再生人 Part2

 

公認会計士と企業再生人Part1で、公認会計士と企業再生人の資質は違うと書きましたが、一方で公認会計士の資格に救われた時期がありました。まさに公認会計士と企業再生人Part1で書いた再生案件大失敗の直後です。

 

公認会計士の資格に救われる

 

当時は、監査法人に非常勤で所属することが比較的容易でした。簡単に言うと、アルバイトとして監査法人で働くことが可能だったのです。1か月のうち半分ぐらいは会計士としてのアルバイトで定期的な現金収入を得て、残りの日数や夜は自身で関与した企業再生業務に専念出来ました。

 

アルバイトなので現金収入といっても大きな金額ではありません。家族を養う最低限の生活費、再生案件で継続していた再生会社の赤字穴埋め分、失敗した企業再生案件で生じた個人負債分の返済を賄うにはとても不足していました。それでも、不足分は単発の再生コンサルティング報酬や、知り合いの会計士の先輩に頭を下げて経済的苦境を説明し、現金収入直結の仕事を頂く等で、何とか糊口を凌ぐことが出来ました。大きな金額でなくても、やはり安定的な現金収入というのは有難い収入源なのです。

 

大失敗再生案件のあと、このような状態が数年続きます。最初の半年は、それこそ家族にも、まともに現状を説明出来ないくらいの無残な経済状況でした。破綻懸念にある会社の社長の苦悩を、身をもって体験する時期と言えればカッコイイのですが、内実は「全てを投げ捨てて逃げ出したい」という苦悩と自責の闘いの日々だったと思います。何せ、生活費すらままならないのに、再生会社の赤字補填に稼いだ現金収入が回り、それ以外にも再生案件失敗による負債返済もあるような状態でしたから(笑)。

 

低空飛行の日々

 

そのうちに継続していた再生会社の黒字化に何とか成功して赤字穴埋め分が必要なくなり、それにより個人負債分の返済に回す金額も増やすことができるようになって、負債の方もスケジュール通りの返済の目途が見えてきます。

そんな時期に、今後の企業再生への自分の関わり方をどうしよう?と考えだしていました。当初の志どおり再生会社を買い取って企業再生をしていくのか? それとも定型的な「企業再生コンサルティング」を通じて再生支援をしていくのか?

 

リスクを負わず「再生コンサルティング」として業務報酬を得ていた方がよっぽど利口です。少なくとも再生に失敗しても個人で負債を負うことはありません。実際、周囲のアドバイスは「会計士としての仕事を確立し安定収入を確保した上で、自分の好きな再生コンサルティングをしていけばいいじゃないか?何でそんなバカみたいにリスクをとっていくんだ?」というものが圧倒的でした。アドバイスと言えば綺麗ですが、明らかに呆れていた方も多かったと思います。

 

企業再生への仮説

 

ただ私は、企業再生、特に中堅・中小企業の企業再生にはある仮説を持っていて、そこに焦点が当たらない企業再生の現状がどうにも受け入れられなかったのです。(意地になっていた部分もあると思います。)

・会社が傾いていくのは現場ではなく、経営方針に問題がある。
・このため、従業員主体の企業再生が、会社が蘇る一番の近道になる。
・ただしリスクマネーを呼び込んで短期的利益を求めると、会社のビジネスが壊れる。

という仮説です。これらを克服しようとすると、コンサルティングの様な関与の仕方ではとても不可能なのです。残念ながら、この様な考えに同調してくれる方は皆無でした。

 

少なくとも

・自らが経営者になり、経営方針を刷新する。
・旧経営者や債権者主導ではなく、従業員主体の企業再生を目指す。
・キャピタルゲインを強く求めない再生投資を、再生会社に呼び込む。

という実践が必要だと確信していて、これらの実践には「公認会計士」的発想は、むしろ邪魔になると思っていました。「公認会計士」的発想とは、会計監査的発想、つまりリスクの指摘・回避に注意が向く姿勢です。これらの実践には、リスクテイクの度胸とリスクコントロールが必要で、それは失敗の連続経験から学び挑戦し続けていくタフさなのかもしれません。少し理屈っぽいですが、そのように落ちこぼれ会計士の自分自身を慰めているのかもしれませんね(笑)

 

こうして大失敗再生案件の痛手から多くを学び、再生方法に改良点を入れ、2年の歳月を経て、ようやく次の新規再生案件に臨んでいくことになります。

 

セカンド・オピニオン株式会社 代表取締役
企業再生人® 小澤隆