企業再生人®ブログ

 
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カテゴリ:企業再生投資

企業再生投資② 公認会計士と企業再生人 Part1

 

当初、弊社もファンドによる企業再生投資を実施していました。ソーシングした企業再生案件の中から再生難易度を測定。それらの企業再生案件の中からピックアップした一つの再生案件に対して、弊社が対象会社のDD(買収調査)・事業評価を実施し、再生スキーム・再生計画を策定。その上で、必要となる再生投資資金をファンド形式(ターゲット・ファンド)資金調達により実施し、対象会社を買収。企業再生人である私自身がCEOになって企業再生を実施していくという、企業再生プロセスの全てを盛り込んだ企業再生投資案件でした。

 

ちなみに、再生案件のソーシングから始まり、再生計画の策定・必要な再生資金の新規調達・対象会社の買収・対象会社の社長に就任してオペレーションを実践 といったプロセスを全て一人でこなせる人は、そうは居ないと自負しています。対象会社が一定の規模であれば、各役割を複数人のチーム編成により分担できるのですが、中小企業の企業再生を志していたので、投下資金の最小化のためにも馬車馬のように動いて、全てを一人で実践していました。

 

この企業再生投資は大失敗の結果に終わります。この案件では、対象会社のビジネスがリーマン・ショックで名高い、今は亡きその特定の外資系金融会社に依存していて、1年かかってようやく黒字化に辿り着き、さぁこれからという矢先にリーマン・ショックにぶち当たってしまったのです。主要顧客・事業が一夜にして消滅してしまった悪夢の日でした。

 

ファンドマネージャーとして判断なら、主要事業を失った時点で撤収の意思決定をすべきです。ターゲットファンド・マネージャーであると同時に対象会社の社長でもあった私は、スタッフの顔も見えており、残余事業での生き残りを模索していきます。その結果は事業の縮小に継ぐ縮小で(最後はただ同然での金額で売却)、貴重な時間も個人資金も全て失うという結果を招きました。個人の時間・お金を失う以上に、私を信頼してリーマン・ショック以降もついてきてくれたスタッフやターゲット・ファンドへの出資者に対して申し訳なく思い、精神的に立ち直るまでにかなりの時間を要しました。

 

なぜ、公認会計士的な考えだと上手くいかないのか?

 

リーマン・ショックの直撃に直面するいう「きっかけ」はあったものの、多くは私自身の未熟さからこの企業再生案件は失敗に終わったと考えています。

・企業再生案件の評価が、数字面に偏向していたこと。
・再生計画の策定とその実践行動の間には、大きな隔たりがあることへの理解不足。
・企業経営の現場で合理的判断がいかに困難であるかは、社長経験者でないとわからないこと。
・社長の頭の中は理論でなく、いかに平常心を保ち続けるタフさの方が余程大事であること。

これ以外にも反省すべき点は多々あります。これらの多くが、公認会計士として再生案件に関わってきた経験と、企業再生人に求められる資質には極めて大きな違いがあることを理解していなかったことから生じていたのです。

 

「公認会計士として再生案件に関わってきた経験と自信は、一度捨てなくてはいけない。」その上で、自分が「企業再生を通じて何をしたいか?」を問い続ける日々が続きました。そしてこの経験がなければ、弊社はその後10年も続かなかったと思います。

 

セカンド・オピニオン株式会社 代表取締役
企業再生人® 小澤隆