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カテゴリ:企業再生, 法人保険のウソ

法人保険(法人向け生命保険)のウソ(4)

法人保険(法人向け生命保険)のウソ(3)の続きです。

 

法人保険(法人向け生命保険)のウソも佳境に入ってきました。長くなってきたので、いったん今回で最後にします。

法人保険には節税メリットが無く、他のメリットもデタラメであることを話すと、外交員側から必ず出てくる「伝家の宝刀」があります。それが「役員退職金」です。

「法人保険は、保険に入って節税をしたつもりでも、解約時に税金がかかってしまえば、ただの利益の繰り延べ効果しかない。それゆえ、解約時の返戻金に対応させた大きな出費(損金)が生じる事業計画が大事になる。特に役員退職金が有効で、綿密な事業計画のもと、節税メリットを享受しながら有利に役員退職金を積立てましょう」

ここには大きな悪意ある誘導が隠されています。退職金が節税(税率優遇)になるのは受け取る個人の所得税に関してであって、支払う法人側には無関係です。しかも解約返戻金に役員退職金をぶつけても何ら節税は生じません。ごちゃまぜに説明して、法人保険が役に立つように思わせる単なる「誤解誘導テクニック」です。

顧問税理士:
「確かに法人保険は、保険に入って節税をしたつもりでも、解約時に税金がかかってしまえば、ただの利益の繰り延べ効果しかない。だからこそ綿密な事業計画と出口戦略が必要なんだよ、企業再生人さん。特に将来の大型出費
・役員退職金の積立
・設備投資の資金
・赤字になった際の穴埋め
には極めて有効なんだよ。」

企業再生人:
「本気で言っているんですか? それこそ大ウソ説明じゃないですか!」

今回もストーリー形式で続きます。

 

伝家の宝刀「役員退職金」

顧問税理士:
例えば年間利益500の会社が将来、年間利益を超える800の役員退職金を支払うとしよう。そうすると×4年には大きな赤字になってしまう。

企業再生人:
役員退職金のような大型出費があるなら、赤字でも仕方ないです。それが本来の会社の姿なんですから。

顧問税理士:
まぁ見ていなさい。ところが×4年まで法人保険を毎年200掛けて4年後に役員退職金と同額の保険受取金を受け取るとすると、どうだい? ×4年の大型出費に対応してきちんと黒字化するだろう。しかも200の保険料は損金算入できるので税務上も有利に「役員退職金」を積み立てたことになるんだよ。

 

企業再生人:
税務上有利って何です?5年累計の税額合計は何ら変化がないですよね?つまり節税効果なんて一切ないんです。何度も説明しているとおり、法人保険を使って毎年度のキャッシュフローを悪化させる代わりに、大型出費用の現金を社内で積み立てていけば充分じゃないですか?

 

法人保険 VS 引当金計上+税効果会計

顧問税理士:
それでは×4年が赤字になって対外的信用を失うだろう。赤字になるのは経営者として極力避けるべき事態なんだよ。
保険外交員:
そうですよ、法人保険は将来の赤字補填にも使えるんです。不測の事態に備えられます。

 

企業再生人:
対外的信用って何です?銀行向け説明という意味ですか?役員退職金という一時的理由で赤字になったことを説明すれば充分です。法人保険を使って毎年の利益水準を落とす方が、銀行に対する与信に響きます。

企業再生人:
赤字補填に至ってはナンセンスそのもの。赤字になって意図せず法人保険を解約しなくてはいけない事態になった時点で、営業赤字+途中解約のペナルティ損失を被る二重苦じゃないですか?そんな小手先の手段ではなく、赤字原因の究明とその対応をするのが経営の本質です。

企業再生人:
それにですね、将来の大型出費や不測の事態による赤字の回避(利益の平準化)を予期・予定するなら、引当金計上すればいいのです。役員退職金引当金、事業損失引当金、修繕引当金etcと。

 

顧問税理士:
引当金は損金不算入なんだよ。有税引当なんて損な処理を避けるために、損金算入可能な保険を使うんじゃないか。

企業再生人:
「損」って何に対する損ですか?税額ですか?損金算入だろうと不算入だろうと税額もキャッシュフローも変わりません。変わるのはP/L上の利益だけです。経理の初級者がよく誤解して、「有税引当」は損みたいに言いますがね。

顧問税理士:
!?

 

企業再生人:
更に言うとですね、そこまで利益平準化に固執したいなら、引当金計上に税効果会計を導入すれば、「法人保険」+伝家の宝刀「役員退職金」と同じ効果が簡単に出来てしまうんです。高い保険コストや途中解約のリスクを抱えてまで「法人保険」を使う意義は一切ないのです。

 

法人保険には保障以外の目的を混入させてはいけない!

今回のストーリーでは、顧問税理士役に少し悪役になって頂きました(笑)

ちょっと気の利く顧問税理士の先生なら

「 法人保険には節税効果なんて一切ありません。保険外交員が
・保険料は損金算入なので節税になります。
実質解約返戻金率は100%を上回っているのでオトクです。
・保険解約時に役員退職金のような大型出費を用意すればいいんです。
のように言い出したら、全てウソなので、胡散臭い奴と思って警戒して下さい。
法人保険による効果なんて、会計処理で簡単に対応できます。」

ときちんと説明してくれる思います。もし顧問税理士自らが、こんな保険外交員と同じことを言って保険商品を売り込んできたら… ご縁が無かった先生だと思って契約を見直した方が良いですね。

保険代理店のHPの謳う「法人保険の節税メリット」や「財務体質の強化を考えた法人保険」などの内容を見ると、よくもまぁ、ここまでウソを並べられるものだと思います。生命保険はあくまで本来の保障目的で選択・導入すべきで、他の観点を考慮する必要は一切ありません。

 

最近流行している「低解約返戻金型」保険の名義変更スキームも、ツッコミどころ満載です。これは会社の節税でなく、受け取る個人の所得税(一時所得の「1/2課税」)を狙ったトリッキーなスキームですが、私ならリスクとメリットを比較して絶対に入りません。このスキームを導入してピンポイントの解約時期を待っている方は、ちゃんと理解しているのかなぁ?と不思議です。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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