企業再生人®ブログ

 
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カテゴリ:企業再生, 法人保険のウソ

法人保険(法人向け生命保険)のウソ(3)

法人保険(法人向け生命保険)のウソ(2) の続きです。今回もストーリー形式です。

 

一般的な節税方法よりも節税効果が高い?

保険外交員:
法人保険を使うと、生命保険料の一定額を損金算入することで利益を圧縮して法人税負担を軽減できるんですよ。

企業再生人:
「法人保険(法人向け生命保険)のウソ(2)」で説明したとおり、法人保険に節税効果はありません。「法人保険」の効果は、毎年のキャッシュフローを悪化させて、保険満期・解約時にその悪化相当分を纏めて返してもらうだけのモノです。

保険外交員:
そうかもしれませんが、「課税の繰延べ」効果で、課税を先送り出来るし、保険料の実質負担率も考えるとおトクなんです。

企業再生人:
「課税の繰延べ」の意味が間違っていますよ。「課税の繰延べ」とは「満期時一括課税」のように、他の条件が同じままで課税時期(税金の納付時期)を先送りすることです。キャッシュフローが改善するのが「課税の繰延べ」効果なのに、キャッシュフローを悪化させるだけの法人保険に使うのは大間違いです。しかも実質負担率の説明に至っては、トンチンカン過ぎて指摘する気にもなりません。

 

法人保険は資金調達の手段として使える?

保険外交員:
法人保険は、「帳簿外に緊急予備資金を貯めておける」機能があるんです。解約返戻金の範囲内で貸付も出来ますし、途中解約すれば、これをいざという時のための緊急予備資金に充当出来るんです。会社の財務体質の強化になります。

企業再生人:
??? 解約返戻金とは元々、保険会社に預けたキャッシュフローの総額のことですよ。なぜ簿外にして保険会社に渡す必要があるのでしょう?しかも解約返戻金は途中解約で、高いペナルティを掛けられて保険料支払総額の半分も戻ってこないじゃないですか。大損です

簿外といっても、法的には会社外部から遡及可能な財産で、差押え可能な財産です。貸付も解約返戻金の70%~90%程度の範囲内までですし、解約返戻金に至っては支払保険料総額以下、つまり保険会社へ預けたキャッシュ以下の金額の資金調達です。だったら法人保険でキャッシュフローを悪化させないで、その分社内留保した方が断然おトクです。

財務体質の強化に至っては、真逆の大ウソ説明です。保険料で利益・キャッシュフローを悪化させている(利益・現金保有高の減少)し、その分を途中解約では100%戻ってこない時点で、財務体質の強化でなく財務体質を悪化させているんですよ。何でこんなウソ説明を真顔でするのか、私にはさっぱりわかりません。

 

法人保険の貯蓄効果は、定期預金に全く及ばない。

保険外交員が必死に説明するメリットですが、「節税効果がない」という時点で全て無理があるのです。シンプルに比較しましょう。法人保険を使う代わりに、「先送りするキャッシュフローを定期預金にする」方が余程メリットが高いのです。途中解約によるペナルティなく定期預金として「緊急予備資金を貯めて」おけます。しかも利益計上額も元のままで、対外的に示す会社の信用度も高いままなのです。何も高い生命保険コストを払ってまで、緊急予備資金を簿外に貯蓄したり、利息を払って「契約者貸付」を利用する意味はないのです。

 

毎年500の営業利益のある会社を再掲します。

 

さて、法人保険を使うと、5年間で120×5年=600の貯蓄が出来る!?

 

それなら定期預金で充分ですね。将来必要になって途中解約しても、しっかり元本は戻ってきます。そもそも「節税効果がない」ので、他のメリットを付けようとして、法人保険のメリット説明に無理が生じているんです。

 

法人保険を使うコスト

生命保険という金融商品を使う以上、コストがかかるのは当たり前です。そして、生命保険会社のコストとは、生命保険の販売時が一番大きいので、解約返戻金率も序盤が著しく低く設計されています

これは、保険外交員への報酬支払の仕組みに起因しています。保険外交員には生命保険の販売した初年度年間保険料の20%~60%が報酬として支払われます。その後数年間はさらにその何割かが支払われていきます。

つまり年間保険料が高ければ高いほど、保険外交員側は嬉しいのです。もちろん生命保険会社もです。これが法人保険の「偽節税メリット」がいまだに強調される理由だと私は思っています。法人保険における本来の死亡保障相当の保険料を、「節税商品」を謳って数十倍上回る「法人保険」の設計と販売がされています

少なくとも、「ある単年度の利益が大きくなったので節税したい」という経営者の一時的な感情心理を巧妙につかれて、その後10年以上にも及ぶ生命保険料を支払い続けるという愚は犯すべきではありません。節税効果は無いうえに支出の固定化を招き入れ、その後損益が悪化した場合には、泣く泣く途中解約してペナルティ相当分の大損をする羽目に陥るのです。私の知る限り、経営破綻になった中小企業を見ていると、多くのケースでこの「法人保険」に喰われています。

法人保険の本来の姿を指摘すべきは、「節税商品」と謳われている以上、顧問税理士の役割が大きいと私は思っています。その顧問税理士が「節税になるから」と生命保険会社を紹介していたり、自らが保険商品を販売しているのは、利益相反の視点から見てもどうなのでしょうか?平成28年施行になった改正保険業法で、会計事務所による保険ビジネス(保険販売代理店ビジネス)が浄化されれば良いと強く思っています。

 

伝家の宝刀 「役員退職金の積立が出来る」

保険外交員の旗色が悪くなってきて、会社に保険外交員を紹介した顧問税理士も気まずくなってきてしまいました。そこで顧問税理士が助け舟を出します。

顧問税理士:
「確かに法人保険は、保険に入って節税をしたつもりでも、解約時に税金がかかってしまえば、ただの利益の繰り延べ効果しかない。だからこそ綿密な事業計画と出口戦略が必要なんだよ、企業再生人さん。特に将来の大型出費
・役員退職金の積立
・設備投資の資金
・赤字になった際の穴埋め
には極めて有効なんだよ。」

企業再生人:
「本気で言っているんですか? それこそ大ウソ説明じゃないですか!

 

次回 法人保険(法人向け生命保険)のウソ(4)に続きます。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆