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カテゴリ:企業再生

消滅時効の援用

時効という言葉を聞いたことがあるでしょうか?警察ドラマで「時効が成立(公訴時効)」という言葉ができてきますが、アノ時効です。刑事の世界ではなく民事の世界では民事時効、商事時効があります。簡単に言うと、借金や買掛金といった支払がチャラになってしまう事です。これを消滅時効といいます

消滅時効(しょうめつじこう)とは、一定期間行使されない場合、権利を消滅させる制度で、取得時効とともに時効の一つである。消滅時効により権利が消滅することを時効消滅という。(ウィキペディアより抜粋)

商法第522条
商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

 

時効の中断

会社に関する主な時効だと
・売掛金・買掛金 2年
・貸付金・借入金 5年
あたりですね。相手が払わないまま放っておくと時効が成立(完成)してしまうので、債権側はこの時効成立を防がなくてはいけません(時効の中断)。その方法は3つあります。

① 請求
裁判上の請求…支払督促の申立て & 訴訟の提起 等
裁判外の請求…内容証明郵便による督促

② 差押え・仮差押え・仮処分

③ 債務者の承認
債務承諾書(支払約束書)へのサインや、一部弁済等

実際に来ると「ドキッ」とする「内容証明郵便による督促」ですが、時効の成立を6ヶ月遅らせる暫定的な効果しかありません。何通督促状が来ても6か月延長は1回限りです。その後、裁判によって確定判決を得ると、時効が10年間に延長します(民法174条の2)。

債務側からすると、「何とか時効成立まで引き延ばしてチャラにならないか」と考えたくなりそうですが(笑)、会社経営で消滅時効を考えるのは時間の無駄です。制度としてはある「消滅時効」ですが、金融機関からの借入金でこの時効が成立した例を私は知りません。

経営危機にある場合は、どんなにシンドくても、リスケ計画等の交渉を正直に実施すべきです。

 

消滅時効の援用

あまり知られていませんが、時効期間が経過したとしても自動的に消滅時効が成立するのではなく、消滅時効の「援用」をしなければ借金を消滅させることは出来ません。「援用」とは、時効の利益を受けるということを相手に伝えることを言います。

具体的には、消滅時効を援用するという通知を、配達証明付きの内容証明郵便で郵送するという方法によります。実務的には、相手方から何も催促されないので消滅時効が成立するのであって、敢えて債務者側から連絡する機会は殆ど無いでしょう。時効期間が経過したあとで、債権者側から連絡が来た時に初めて、「援用」通知を送ることになります。

 

税金の消滅時効と援用

日本最強の債権である税金にも時効はあります。税金(国税徴収権)の消滅時効の期間は法定納付期限から5年です。ただし、刑事告発されるような悪質な脱税行為が発覚した場合には、時効の成立は7年に延長されます。

少し面白いのは、税金(国税徴収権)の消滅時効には「援用」規定が無いので、時効の中断なく期間が経過すると、自動的に消滅時効が成立します。

(国税の徴収権の消滅時効)
第七十二条  国税の徴収を目的とする国の権利(以下この節において「国税の徴収権」という。)は、その国税の法定納期限(第七十条第三項の規定による更正若しくは賦課決定、前条第一項第一号の規定による更正決定等又は同項第三号の規定による更正若しくは賦課決定により納付すべきものについては、これらの規定に規定する更正又は裁決等があつた日とし、還付請求申告書に係る還付金の額に相当する税額が過大であることにより納付すべきもの及び国税の滞納処分費については、これらにつき徴収権を行使することができる日とし、過怠税については、その納税義務の成立の日とする。次条第三項において同じ。)から五年間行使しないことによつて、時効により消滅する。
2  国税の徴収権の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。
3  国税の徴収権の時効については、この節に別段の定めがあるものを除き、民法 の規定を準用する。

 

そうは言っても、相手は日本最強の債権の税金です。「放置していれば、あわよくば・・・」なんて考えるとトンデモナイしっぺ返しを喰らうので、くれぐれも放置なんてしないようにして下さい。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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