企業再生人®ブログ

 
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カテゴリ:企業再生

銀行口座の開設

最近は個人銀行口座も法人銀行口座も、口座開設の審査が大変厳しくなっています。

当行では、未然に詐欺被害等を防止し正当な金融サービスを提供させていただくため、法人口座を開設していただく際に下記の「公的書類等」による確認および口座開設にかかる審査を実施しております。
お客さまにはお手数をおかけいたしますが、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
※公的書類等をご提出いただけない場合は、口座開設のご請求を受付いたしかねます。ご了承ください。
(ゆうちょ銀行 HPより)

日本では「詐欺被害等」という振り込め詐欺(オレオレ詐欺)防止の理由が全面に出されていますが、海外でも銀行口座開設は日本と同様に厳格化しています。特にアジア各国は、今まで日本人の銀行口座開設は極めてラクだったのですが、最近では先進国並みに厳格化された感があります。

 

FATFの勧告

FATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会: Financial Action Task Force on Money Laundering)とは、主として以下の活動をしている政府間機関(事務局はパリの経済協力開発機構事務局内に設置)です。

・マネーロンダリング対策及びテロ資金対策に関する国際基準(FATF勧告)の策定及び見直し
・FATF参加国(地域)相互間におけるFATF勧告の遵守状況の監視(相互審査)
・FATF非参加国(地域)に対する、マネーロンダリング対策及びテロ資金対策推進のための支援活動

元々は麻薬犯罪等の国際犯罪取り締りを目的としていましたが、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件発生以降は、テロ組織の資金洗浄(マネーロンダリング)防止に比重が移っています。

このFATF勧告を受けて、日本では「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が制定されました。(2008年4月施行。2016年10月の改正では、本人確認の身分証明書に証明写真のないもの(健康保険証など)を使用する場合は、証明する書類を2点以上提示することを義務づけられました。)

 

さらに2014年6月FATFから日本に対して、「重要な不備」を改善するよう声明が出されています。

・テロ資金供与の犯罪化が不完全
・金融機関、非金融機関に対するマネーロンダリングの予防措置や顧客管理に関する要件や義務の欠如
・テロリストの資産凍結に関する仕組みが不完全
・パレルモ条約(国際組織犯罪防止条約)の未締結(2017年8月に締結)

つまり、日本国内の「詐欺被害」対策だけで銀行口座開設が厳格化されているのではなく、世界的趨勢に応じているのです。

 

銀行口座とマイナンバー

2016年1月1日から本格的な運用が始まったマイナンバー制度ですが、2015年3月の閣議決定により2018年から銀行口座にも適用(紐付け)されることとされました。当面は任意であり、義務化は2021年と段階的に実施を目指すとされています。

なお個人番号は、FATFの求める本人確認厳格化のための道具の一つとされていて、これに応じたものにもなりますが、最大の導入目的は個人所得・資産の把握にあります。「銀行口座とマイナンバーを紐付けしなくても、2001年から導入された国税総合管理システムで銀行口座経由の脱税対策は充分に達成されている。本来の導入目的は『預金封鎖&財産没収』にある」という論調も見掛けますが、『預金封鎖&財産没収』は銀行口座とマイナンバーの紐付けとは無関係に、必要なら実施されると思います。日本政府は明治維新直後と1946年に預金封鎖・財産税の徴収を実施していますし、ハイパーインフレに向かえば預金封鎖と実質的には同じことになります。

このような管理番号制は、社会制度の選択だと思います。無制限な自由はあり得ないし、極度の管理社会も好ましくありません。どこまで踏み込むかは、善悪でなく選択の問題なのです。真面目に納税している立場からすれば、煩雑な役所関連の書類手続きが効率化されて、公務員人件費が減少して欲しいと思います。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆