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カテゴリ:企業再生

「経営改善計画書」の効果

事業計画とは、一般に会社の経営方針とその計画を意味します。

事業計画は事業の達成目的、目標、達成する計画・過程を示した公式のステートメントまたはその文書のこと。その目的を達成しようとする組織の概要や背景、 戦略などの情報を含む場合もある。「ビジネスプラン(英語:business plan)」とも呼ばれる。企業の計画のみならず、国や行政機関、教育機関、非営利団体の事業についても使用される。
事業計画は、その顧客、納税者、コミュニティーなどを対象とし、その認識を改めることを目的として策定されることもある。例えば既存の事業が大きな変化を起こす場合や、新規のベンチャー事業を計画する場合には、投資家が判断するために3-5年の事業計画が必要とされる。
(ウィキペディアより抜粋)

中小企業にとって事業計画及び事業計画書の外部への提出先は主として、銀行等の金融機関と大口取引先です。

この事業計画書の中で、企業再生に関係する事業計画書には、以下の呼び名の事業計画書(事業再生計画書)があります。

一口に計画といっても、私的な手続き(私的整理)に基づく計画もあれば、 法的な手続き(法的整理)に基づく計画もあり、様々な計画が存在します。主 な計画は以下のとおりです。

(ⅰ) 私的な手続きから作成された計画
・地域経済活性化支援機構が策定支援した事業再生計画
・事業再生 ADR より作成された事業再生計画
・株式会社整理回収機構が策定支援した事業再生計画
・私的整理ガイドラインに基づいて策定された事業再建計画
・中小企業再生支援協議会が策定支援した事業再生計画
・必要な関係者との同意が得られている債務者が作成した事業再建計画
(ⅱ) 法的な手続きから作成された計画
・民事再生法により認可された事業再生計画
・会社更生法により認可された更生計画

色々あります。これらの中でよく『経営改善計画書』が注目されます。というのは、会社の経営状態が悪化して返済スケジュールの変更等(リスケ)を銀行側に依頼すると、かならず『経営改善計画書』の作成・提出が求められるからです。

 

「経営改善計画書」とは?

では、『経営改善計画書』とは何だ?となりますが、独立行政法人中小企業基盤整備機構が公表している「認認定支援機関向け経営改善・事業再生研修【基礎編】」の中では以下のように説明されています。

経営改善計画書 :経営改善施策を織り込んだ計画書をいい、「事業再生計画書」、暫定リスケの計画書、超長期リスケの計画 書等を含む

★事業再生計画書
★経営改善計画書
★実抜計画書(実現可能性の高い抜本的な経営再建計画書)
★合実計画書(合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画書)

事業再生計画書や経営改善計画書は、何となく言葉でイメージがつきやすいと思いますが、実抜計画書や合実計画書はかなりマニアックな用語(笑)で、企業再生の分野にしかありません。おまけに広義の経営改善計画書と狭義の経営改善計画書が出てきて、一見するとチンプンカンプンになります。

今回は 「銀行から要求されて提出する経営改善計画書」に限定して説明します。

 

会社はどのステージにあるのか?(債務者区分)

経営状況が思わしくない会社といっても、その状況には段階があります。がん治療のステージのようなものだと思って下さい。この会社の状況を信用格付けのように区分・分類したものを銀行視点で「債務者区分」と言います。銀行視点といっても、この区分・分類は金融庁の「金融検査マニュアル」において統一されていて、「国が定めた銀行全般の統一ルール」です。以下はメガバンクみずほ銀行FGの債務者区分です。(みずほ銀行FG HPより)

 

この債務者区分によって、事実上銀行の判断の余地なしに、銀行の債務者(=会社)に対する融資姿勢が自動的に決まります。会社側の個別事由は殆ど斟酌されません。ちなみに要管理債権以下が一般的に不良債権と呼ばれるものです。

 

債務者区分と引当率

債務者区分に従って、その会社への貸出額(債権)への貸倒引当率が違います。みずほ銀行FGの平成28年度決算では以下のようになっています。

正常先:           0.06%
要注意先: その他要注意先  6.69%
要注意先: 要管理債権    45.50%
破綻懸念先以下への債権:   62.70%~100.00%

要管理債権とは要注意先に対する債権のうち、元金や利息の支払いが3か月以上延滞しているものや、債務者の再建・支援を図るため貸出条件が緩和されているものを指します。会社側がリスケ(貸出条件の緩和)を申し出たとしても、銀行はその申込みを受け入れた瞬間に要管理先債権(不良債権)と認識して、貸出債権の45.5%を損失として計上することになります。新規融資などもっての外!です。新規に貸出した瞬間にその半額が損失計上になるのなら、貸し出せる訳がないのです。リスケ申し込みは即、銀行側による温かい支援どころか、冷徹な回収姿勢にしかなり得ません。これが銀行側の理屈です。

ここで「銀行から要求されて提出する経営改善計画書」の登場になります。

金融庁 「主要行等向けの総合的な監督指針(本編) Ⅲ-3-2-4-3 リスク管理債権額の開示」では、下記のように定められています。

過去において債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として金利 減免、金利支払猶予、債権放棄、元本返済猶予、代物弁済や株式の受領 等を行った債務者に対する貸出金であっても、金融経済情勢等の変化等 により新規貸出実行金利が低下した結果、又は当該債務者の経営状況が 改善し信用リスクが減少した結果、当該貸出金に対して基準金利が適用 される場合と実質的に同等の利回りが確保されていると見込まれる場 合、又は当該債務者の債務者区分が正常先となった場合には、当該貸出 金は貸出条件緩和債権には該当しないことに留意する。

特に、実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されている場合には、当該経営再建計画に基づく貸出金は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない。

また、債務者が実現可能性の高い抜本的な経営再建計画を策定していない場合であっても、債務者が中 小企業であって、かつ、貸出条件の変更を行った日から最長1年以内に 当該経営再建計画を策定する見込みがあるときには、当該債務 者に対する貸出金は当該貸出条件の変更を行った日から最長1年間は 貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない。

貸出条件緩和債権(不良債権)に該当しない とは、

一定の経営改善計画書を提出していれば、要注意先→要管理債権という原則的分類はせず、債務者区分を「その他要注意先」or「正常先」にランクアップして、正常債権とみなしてよい。

ということを意味しています。

 

「経営改善計画書」の効果

この債務者区分ランクアップの効力を持つ魔法のような経営改善計画書が、「銀行から要求されて提出する経営改善計画書」なのです! 正常債権と見なされれば、銀行側の支援がとても得られやすくなります。すぐに資金回収を求められず、金利減免やリスケも受け入れられやいですし、もしかしたら新規融資するOKかもしれません。

勿論、経営改善計画書はどんなモノでもOKではありません。今回は長くなってしまったので、いったんここで終了です。続きは別ブログ記事で説明します。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆

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