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カテゴリ:企業再生

ヘッジ目的の為替予約

最近、円/ドルの為替レートが乱高下していますね。

一般的に輸出企業にとって円安は、ドル建て売上の受取り円換算額が増えるので+に働きます。輸入企業にとってはドル建て仕入の支払い円換算額は増えるので、-に働きます。国内企業である限り、給料や家賃といった支払いは円でしか支払えないので、外国通貨は必ず円換算する必要があるのです。

会社の利益率、例えば原価率を10%改善しようとすると、大変な努力が必要になります。一方で為替レートは短期間に±10%変動することなんてザラにあります。輸出企業や輸入企業にとって、為替変動の影響をいかに軽減化するのかは永遠のテーマなのです。

 

為替予約とは

この為替変動の影響を出来るだけ軽減化するために「為替予約」という制度があります。これは「変動する為替相場のなかで、将来のある時期に予め決めた為替相場で外国通貨を交換する契約・制度」です。取引所のような市場もありますが、中小企業では銀行等の金融機関と契約を締結することになります。この変化版がオプション等のデリバティブ取引で、「為替予約」はデリバティブ取引のもっとも分りやすい基本形といえます。

元々は為替取引の変動を事前に軽減化する目的(リスク・ヘッジ目的)のもので、「為替予約」を取り入れている企業にとっては「保険」のようなモノと考えていると思います。ですが、為替相場が変動する以上、為替予約を始めとするどんな金融商品・金融スキームを用いても、為替変動リスクは完全排除出来ません。

 

特に金融商品は理解を一歩間違うと、リスク・ヘッジどころかリスク丸取りになっています。

2012年に経営破綻したエスケー食品は有名でしたが、金融機関があまり必要性もないのに海外取引をしている企業にヘッジ目的の為替予約を販売しまくり、為替が大きく変動したとたん、その為替予約を取り入れた企業が経営破綻しました。為替変動のリスク・ヘッジのはずが、逆にリスクを増大させて経営破綻してしまったのです。

エスケー食品株式会社は、かつて存在した兵庫県の食品メーカー。インドネシアで子会社による海老の養殖事業を行い、海老フライを中心とした冷凍食品を製造していた。

沿革
1971年(昭和46年) – 冷凍海老フライ製造開始

1973年 – エスケー食品株式会社設立

1988年 – 神戸三宮に、とんかつ専門店「かつ膳」開設

1990年(平成2年) – インドネシアに、海老の養殖を行う合弁会社「PT. KSATRYA SUGANO INDONESIA」設立

2012年5月25日 – 原材料費高騰やデリバティブ取引により資金繰りが悪化。神戸地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額51億円。

2012年6月8日 – 民事再生手続きを断念し神戸地方裁判所へ自己破産申請、破産手続きの開始決定。

2016年1月22日 – 法人格消滅。

ウィキペディアより抜粋)

一時期、この為替ヘッジ関連の損失により、本業は堅調でも経営悪化した企業向けの企業再生ビジネスが盛んになった程なのです。

 

理解出来ない金融スキームには手を出さない

私は会計監査をしていた頃、銀行や投資銀行の監査を担当していた時期があります。そこでは多くのことを学びました。その中のひとつに「複雑なスキームは図やグラフにして、初めて理解できる。その図やグラフは説明者の用意するものではなく、自分で描くものでないといけない」がありました。

例え周囲から「バカ呼ばわり」されたとしても、下手に「知ったかぶり」せず、自分なりに理解しようという姿勢はとても大事だと思います(そう思いたいです)。

そして、理解出来ない金融スキームは、例え「儲かる」「安全」「時流に取り残される」のように言われても、手を出さない勇気が必要だと思います。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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