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カテゴリ:企業再生

更生管財人とは

前回のブログ 2018.05.09「会社更生と民事再生」の中で、「会社更生法では、旧経営陣は退任が必須です。旧経営陣に代わって、裁判所が任命する更生管財人が経営を一時的に担います。」と書きましたが、この部分について質問を受けました。今回のブログでは、更生管財人について説明します。

 

更生管財人とは

(更生手続開始の決定と同時に定めるべき事項)
第四十二条 裁判所は、更生手続開始の決定と同時に、一人又は数人の管財人を選任し、かつ、更生債権等の届出をすべき期間及び更生債権等の調査をするための期間を定めなければならない。

(会社更生法 施行日平成29年4月1日)。以下同じ。

会社更生法では。更生手続きの開始と同時に(更生)管財人が必ず選任されます。

第三節 管財人
第一款 管財人の選任及び監督
(管財人の選任)
第六十七条 管財人は、裁判所が選任する。
2 法人は、管財人となることができる。
3 裁判所は、第百条第一項に規定する役員等責任査定決定を受けるおそれがあると認められる者は、管財人に選任することができない。

そして、その管財人は裁判所が選任します。更生管財人は、会社財産の管理処分権、経営権を持つだけでなく、更生計画案を作成しその実行を担当します。ここを指して、「会社更生法では、旧経営陣は退任が必須です。旧経営陣に代わって、裁判所が任命する更生管財人が経営を一時的に担います。」と説明しました。

 

実務上では、更生管財人には、保全管理人であった弁護士が横滑りするとともに、スポンサー企業が更生手続開始決定時に決まっている場合には、スポンサー企業から送り込まれた役員や従業員も管財人に選任される例が見られます。(前者を法律管財人、後者を事業管財人といいます。)

このように裁判所が選任するといっても、一方的に選任されるわけではありません。スポンサー企業、会社及び大口債権者とで協議してその人選について積極的に裁判所に意見上申することが重要になるのです。

 

旧経営陣は必ず排除されるのか?

更生会社の旧経営者の中には、更生手続開始の申立て直前にスポンサー企業から派遣された者のように、経営責任がなく、スポンサー企業と深い人的関係を有する経営者や、会社更生手続の開始に関わる直接的な経営責任がなく、事業の更生に不可欠な特殊技能や能力を有する経営者もいると考えられます。このような経営者に経営を続けさせることが、更生会社の事業の更生に有用な場合があることは否定できません。

そこで、改正法は、役員としての責任に基づく損害賠償義務を負う場合にその額及び内容を査定する役員責任等査定決定を受けるおそれがあると認められる者については、裁判所は管財人に選任することができないとしました。つまり、従来の経営者でも、上記の決定を受けるおそれのない者に関しては、適任者であれば管財人に選任できることが明文化されました。

鳥飼総合法律事務所HP 『倒産法 管財人等 Q4-1』より抜粋)

上記は、第六十七条3項の立法趣旨を説明している文章です。このように、会社更生法の枠組みでも、一定の制限下で旧経営陣(役員)の管財人の就任は認められています。ただ、どちらかと言うと、管財人への就任ではなく、管財人代理(第七十条)に就任しているケースの方が多いように見受けられます。

(管財人代理)
第七十条 管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の管財人代理を選任することができる。ただし、第六十七条第三項に規定する者は、管財人代理に選任することができない。
2 前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。

 

「更生管財人」に対する質問では、「破産管財人」と事実認識が混合していました。確かに「更生管財人」はとてもマイナーな存在で、一方で「破産管財人」はとても有名な存在です。(何しろ適用件数が桁違いです。) 自己破産に関するテーマをブログの中で説明するのは、ちょっと厳しいものがあるのですが、企業再生とは切っても切れないテーマなので、どこかで試みようと思います。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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参考資料:会社更生法 第三節管財人 全文

第三節 管財人
第一款 管財人の選任及び監督
(管財人の選任)
第六十七条 管財人は、裁判所が選任する。
2 法人は、管財人となることができる。
3 裁判所は、第百条第一項に規定する役員等責任査定決定を受けるおそれがあると認められる者は、管財人に選任することができない。
(管財人に対する監督等)
第六十八条 管財人は、裁判所が監督する。
2 裁判所は、管財人が更生会社の業務及び財産の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、管財人を解任することができる。この場合においては、その管財人を審尋しなければならない。
(数人の管財人の職務執行)
第六十九条 管財人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
2 管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(管財人代理)
第七十条 管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の管財人代理を選任することができる。ただし、第六十七条第三項に規定する者は、管財人代理に選任することができない。
2 前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
(法律顧問)
第七十一条 管財人は、更生手続において生ずる法律問題(法律事件に関するものを除く。)について自己を助言する者(以下「法律顧問」という。)を選任するには、裁判所の許可を得なければならない。
第二款 管財人の権限等
(管財人の権限)
第七十二条 更生手続開始の決定があった場合には、更生会社の事業の経営並びに財産(日本国内にあるかどうかを問わない。第四項において同じ。)の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した管財人に専属する。
2 裁判所は、更生手続開始後において、必要があると認めるときは、管財人が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
一 財産の処分
二 財産の譲受け
三 借財
四 第六十一条第一項の規定による契約の解除
五 訴えの提起
六 和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)
七 権利の放棄
八 共益債権又は第六十四条第一項に規定する権利の承認
九 更生担保権に係る担保の変換
十 その他裁判所の指定する行為
3 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
4 前三項の規定については、更生計画の定め又は裁判所の決定で、更生計画認可の決定後の更生会社に対しては適用しないこととすることができる。この場合においては、管財人は、更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分を監督する。
5 裁判所は、更生計画に前項前段の規定による定めがない場合において必要があると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、同項前段の規定による決定をする。
6 裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、前項の規定による決定を取り消すことができる。
7 前二項の規定による決定があったときは、その旨を公告し、かつ、その裁判書を管財人及び更生会社に送達しなければならない。この場合においては、第十条第四項の規定は、適用しない。
(更生会社の業務及び財産の管理)
第七十三条 管財人は、就職の後直ちに更生会社の業務及び財産の管理に着手しなければならない。
(当事者適格等)
第七十四条 更生会社の財産関係の訴えについては、管財人を原告又は被告とする。
2 前項の規定は、第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復している期間中に新たに提起された更生会社の財産関係の訴えについては、適用しない。
3 第五十二条第一項、第二項及び第六項の規定は、第七十二条第四項前段の規定による更生計画の定め又は裁判所の決定が取り消された場合における前項の訴えについて準用する。
(郵便物等の管理)
第七十五条 裁判所は、管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、更生会社にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(以下「郵便物等」という。)を管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 裁判所は、更生会社の申立てにより又は職権で、管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
3 更生手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。第七十二条第四項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復したときも、同様とする。
4 第一項又は第二項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、更生会社又は管財人は、即時抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定に対する前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第七十六条 管財人は、更生会社にあてた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2 更生会社は、管財人に対し、管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で更生会社財産に関しないものの交付を求めることができる。
(更生会社及び子会社に対する調査)
第七十七条 管財人は、更生会社の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、清算人及び使用人その他の従業者並びにこれらの者であった者並びに発起人、設立時取締役及び設立時監査役であった者に対して更生会社の業務及び財産の状況につき報告を求め、又は更生会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 管財人は、その職務を行うため必要があるときは、更生会社の子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。)に対してその業務及び財産の状況につき報告を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
(管財人の自己取引)
第七十八条 管財人は、裁判所の許可を得なければ、更生会社の財産を譲り受け、更生会社に対して自己の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために更生会社と取引をすることができない。
2 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(管財人の競業の制限)
第七十九条 管財人は、自己又は第三者のために更生会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
2 前項の取引をした管財人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所に報告しなければならない。
3 管財人が第一項の規定に違反して同項の取引をしたときは、当該取引によって管財人又は第三者が得た利益の額は、更生会社に生じた損害の額と推定する。
(管財人の注意義務)
第八十条 管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
2 管財人が前項の注意を怠ったときは、その管財人は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務を負う。
(管財人の情報提供努力義務)
第八十条の二 管財人は、更生債権等である給料の請求権又は退職手当の請求権を有する者に対し、更生手続に参加するのに必要な情報を提供するよう努めなければならない。
(管財人の報酬等)
第八十一条 管財人は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
2 管財人は、その選任後、更生会社若しくは更生計画の定めにより設立された会社に対する債権又は更生会社若しくは当該会社の株式若しくは持分を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
3 管財人は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用及び報酬の支払を受けることができない。
4 第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前各項の規定は、管財人代理及び法律顧問について準用する。
(任務終了の場合の報告義務等)
第八十二条 管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。
2 前項の場合において、管財人が欠けたときは、同項の計算の報告は、同項の規定にかかわらず、後任の管財人がしなければならない。
3 管財人の任務が終了した場合において、急迫の事情があるときは、管財人又はその承継人は、後任の管財人又は更生会社が財産を管理することができるに至るまで必要な処分をしなければならない。
4 第二百三十四条第二号から第四号までに掲げる事由のいずれかが生じた場合には、第二百五十四条第六項又は第二百五十七条に規定する場合を除き、管財人は、共益債権を弁済しなければならない。ただし、その存否又は額について争いのある共益債権については、その債権を有する者のために供託をしなければならない。
第三款 更生会社の財産状況の調査
(財産の価額の評定等)
第八十三条 管財人は、更生手続開始後遅滞なく、更生会社に属する一切の財産につき、その価額を評定しなければならない。
2 前項の規定による評定は、更生手続開始の時における時価によるものとする。
3 管財人は、第一項の規定による評定を完了したときは、直ちに更生手続開始の時における貸借対照表及び財産目録を作成し、これらを裁判所に提出しなければならない。
4 更生計画認可の決定があったときは、管財人は、更生計画認可の決定の時における貸借対照表及び財産目録を作成し、これらを裁判所に提出しなければならない。
5 前項の貸借対照表及び財産目録に記載し、又は記録すべき財産の評価については、法務省令の定めるところによる。
(裁判所への報告)
第八十四条 管財人は、更生手続開始後遅滞なく、次に掲げる事項を記載した報告書を、裁判所に提出しなければならない。
一 更生手続開始に至った事情
二 更生会社の業務及び財産に関する経過及び現状
三 第九十九条第一項の規定による保全処分又は第百条第一項に規定する役員等責任査定決定を必要とする事情の有無
四 その他更生手続に関し必要な事項
2 管財人は、前項の規定によるもののほか、裁判所の定めるところにより、更生会社の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。
(財産状況報告集会への報告)
第八十五条 更生会社の財産状況を報告するために招集された関係人集会においては、管財人は、前条第一項各号に掲げる事項の要旨を報告しなければならない。
2 前項の関係人集会においては、裁判所は、管財人、更生会社、届出をした更生債権者等又は株主から、管財人の選任並びに更生会社の業務及び財産の管理に関する事項につき、意見を聴かなければならない。
3 第一項の関係人集会においては、第四十六条第三項第三号に規定する労働組合等は、前項に規定する事項について意見を述べることができる。
4 裁判所は、第一項の関係人集会を招集しないこととしたときは、前二項に規定する者(管財人を除く。)に対し、管財人の選任について裁判所の定める期間内に書面により意見を述べることができる旨を通知しなければならない。

 

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