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カテゴリ:企業再生

米国トイザらスの破綻

2017年9月の米国トイザらス(Toys”R”Us, Inc.)Chapter11申請による経営破綻は、以前から噂になっていましたが、現実化すると個人的には極めてショッキングな破綻劇でした。米国トイザらスは金融機関への支援要請を新たな再建スポンサーを募集し事業継続を模索しますが、期待されていた2017年末のクリスマス商戦の結果があまりに酷く、事業継続を断念。アメリカで展開する735の全店舗(従業員3万3000人)が閉鎖され清算・消滅することになりました(2018年3月)。それほど事業劣化が激しかったのです。

米国以外の海外店舗は、イギリスが全店舗閉鎖決定。カナダを含め他の国々は新スポンサーを模索中と報道されています。さて、日本で160店舗(年間売上約1,400億円)を展開する日本トイザらスはどうなっているのでしょうか?

 

日本トイザらスは?

米国トイザらスの事業清算が米国破産裁判所に届けられた2018年3月15日、日本トイザらスは「米国トイザらスの破綻は日本トイザらスとはほぼ無縁であること」「日本市場での業績や財務状態は良好で、今後も新たな出店を計画していること」とし、明確に事業継続を表明しています。

日本トイザらス「営業活動に支障はない」

日本トイザらスの株主は、ティーアールユー・ジャパン・ホールディングス・エルエルシー(以下TRUJ)とティーアールユー・ジャパン・ホールディングス2・エルエルシー(以下、TRUJ2)。この2法人は、トイザらス・アジア・リミテッド(香港、以下、トイザらスアジア)の支配下にあり、トイザらスアジアには米トイザらスが約85%を出資している。

3月15日、日本トイザらスの担当者は、「取引金融機関にはリングフェンス(TSR注:資金の組織別管理)を義務付けられており、米トイザらスへの配当の制限や貸付の禁止などを約束している」とコメント。その上で、「日本トイザらス、TRUJ、TRUJ2、トイザらスアジアの4社は、もともとチャプター11の対象外であり、本件(アメリカでの事業清算)で営業活動に支障はない」と語った。(以下略)

 

日本トイザらス 「新規出店を計画」

日本トイザらスの業績については、「2018年1月期(集計中)も前期並みの売上を確保しており、2019年1月期は小型店を中心に新規出店を計画している」(日本トイザらス)と強気の姿勢を崩していない。日本トイザらスは金融機関と独自でシンジケートローン契約を締結していることや、米トイザらスとの間に債権・債務がないことを挙げ、アメリカでの事業清算が日本トイザらスの財務に影響を与えることはないとの見解だ。

(東京商工リサーチ 2018.03.16記事より抜粋)

 

Amazon Effect(アマゾン効果)

米国トイザらスの経営破綻の原因は「アマゾンの躍進によってオンラインでのショッピングが急増し、店舗での玩具消費が大きく落ち込んだこと」と指摘されています。

トイザらスは、当初アマゾンでの唯一の玩具販売業者として契約を交わし、Eコマース(電子商取引)はアマゾンに100%依存していました。Eコマースの取引が拡大するにつれ、両者の力関係は大きくアマゾン側に傾きます。トイザらスもEコマースの重要性に気付き、独自オンラインショップの運営を始めますが時既に遅し。アマゾンに太刀打ちできるようなEコマースを構築できず、急速に衰退してしまったのです。

トイザらスといった「玩具販売の巨人」に限らず、他の業界も軒並みアマゾンに売上を奪われつつあります。アパレル業界、百貨店等の流通業界のみならず、証券や金融など、あらゆるものを含めて、アマゾンが経済を飲み込んでいる様相を呈しており、この状況を指して「Amazon Effect(アマゾン効果)」という経済用語すら誕生しました。

アマゾンは、ITテクノロジーによってリアル店舗では不可能な膨大な在庫管理、流通革新を実践しているだけではありません。「地球上で最も豊富な品揃え」そして、「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」を経営理念に、顧客を「顔の見える個人」としている事業形態が、既存の事業形態を駆逐しているように感じています。今までの経営管理手法が「販売数量」「販売単価」と顔の見えない数字の顧客管理を志向しているのに対し、アマゾンは顔のある個人それぞれの継続的な嗜好・満足度に焦点を当てているのです。巨大な「おもてなし」の出現です。

 

「米トイザらス破綻の原因はアマゾンではない」

確かに、アマゾンやウォルマート(米大手スーパーマーケットチェーン)は市場で競争力を高めてきました。しかし、それが(トイザらス破綻の)直接的な原因ではないと考えています。

米トイザらスは2005年に、ベイン・キャピタルやコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの投資ファンドにより買収されました。LBO(Leveraged Buy-Out)の形態で買収され、以降、50億ドルもの有利子負債を抱え続け、年間4億ドル〜4億5千万ドルに及ぶ金利の支払いを余儀なくされました。

トイザらスは、店舗のリニューアルやオンライン事業などへの投資をまともに進めることができなくなりました。負債の重石は、コストの削減などを優先的に進める結果となりました。

顧客に対するサービスを最優先させ、事業の改革の中ですべきことが十分できなかったことが、(破綻の)大きな原因だろうと思っています。

ディーター・ハーベル 日本トイザらス社長
Business Insider Japan 2018年4月12日記事より引用

 

ディーター・ハーベル日本トイザらス社長の言葉は、単なる自戒と負け惜しみでなく、本質を突いていると思います。ネットとリアル店舗の方向性は急速に接近しています。業績の落ちた既存スタイルの中小企業が闇雲に「Eコマース」に手を出しても上手くいかないのは、大きな理由があるのです。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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