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カテゴリ:企業再生

開業届の必要性

最近、会社員の副業が話題になっています。ひと昔前であれば、多くの会社で禁止されていました。「そんな余裕があるのなら会社の業務にもっと精を出せ」「情報漏洩のリスクがある」といった理由からです。現在も副業を容認している企業は2割足らずとの調査もあります。

しかしながら、厚生労働省は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成。モデル就業規則の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、「原則的に副業を認めるべきだ」と方針転換しました。「働き方改革」の一環として、個人の様々な知識・スキル獲得を促す方向にかじを切ったのです。

副業解禁と起業(2017.11.29 ブログ)参照

 

「働き改革」や「副業OK」のご時世、会社勤めをしながら、副業でも収入を得ている方も多くなっていくと思います。そんな場合「開業届」を出した方が良いの?という質問を受けました。

 

開業届とは

開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類で、正式名称は「個人事業の開廃業届出書」です。法人設立による起業の場合は関係ありません。

[概要]
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。

[手続根拠]
所得税法第229条

[提出時期]
事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。

国税庁HPより抜粋。「開業届」用紙もダウンロード出来ます。

開業届を提出しなくても特に罰則はなく、副業で得た収入をきちんと税務申告・納税していれば特に問題はありません。この開業届けは、屋号登記のような公に「私は開業しましたよ!」と周囲に宣言するものではなく、あくまで税金計算のためだけに税務署に連絡する「届け出書類」なのです。

 

開業届の効果

開業届の効果は、大きく次の2点です。

① 個人所得税の『青色申告』が可能になる。
② 屋号名称の銀行口座作成の際、「開業届」の提出を求められる。

この①②が必要なければ、「開業届」を出す必要はありません。

 

① 個人所得税の青色申告について

個人所得税の「青色申告」について簡単に説明します。

「青色申告」のプラス面 → 所得税が低くなる
青色申告特別控除(10万円 or 65万円)
・赤字が繰り越せる(3年間)
・家族への給与が経費にできる

「青色申告」でのマイナス面 → 事務作業が増える
「青色申告」では複式簿記での記帳が要求されます。

主たる収入がサラリーマン・OLといった給与所得で副業収入がある場合、「青色申告」のメリット・デメリットは総収入の規模に比例します。

給与収入が高い方は税率も高いので、副収入の規模が小さくても「青色申告特別控除」によって所得税・地方税合わせて数十万円税金が抑えられるかもしれません。(年収1,000万円 ≓ 課税所得780万円超相当の場合、65万円×(23%+10%)=▲約21万円)。

逆に総収入が低い場合には、「青色申告」をしても効果が▲数万円以下です。何より、副収入が事業として黒字(収入-経費がプラス)で無ければ税額が発生しません。事務作業に時間を費やすよりも、副収入なり収入全体を増やすことに時間を費やすべきだと思います。

 

質問者の収入状況によってケースバイケースなのですが、「総収入が1,000万円以下だったり、副収入が年間100万円未満のうちは、あまり事務作業に労力や時間を掛けても意味が無い。それより、給与を上げるか、副収入の売上を上げるか、どちらかに時間と労力を集中した方が良い」と一般的には返答しています。

 

② 屋号について

屋号とは「仕事」で使う名前です。法人なら「〇〇株式会社」のように会社名がそのまま屋号になりますが、個人事業主の場合は、必ずしも屋号をつける必要はありません。お店を経営したりや事務所を開いている場合は、お店の名前や事務所名が屋号になります。フリーランスの場合には、本名をそのまま仕事名にする場合もあれば、ペンネームのような屋号を使う場合もあるでしょう。

例えば、私の場合だと
・個人名:小澤隆
・屋号:小澤公認会計士事務所
・法人名:セカンド・オピニオン株式会社
の3種類を仕事名で使うことが可能です。

法人の場合は法人名の商号登記が必須ですが、個人の場合、屋号は必ずつけなければいけないものではありませんし、屋号をつけたとしても商号登記をしなくてもOKです。屋号の商号登記も出来ますが、商標権と違って排他性(他人が使えなくなる)が無いので、まぁ自己満足の世界ですね。

なお、開業届に屋号を記入する欄はありますが、屋号が無い場合は空欄で提出しても何ら問題ありません。

 

屋号名による銀行口座

個人事業主の場合、屋号名による銀行口座が開設可能です。この口座は個人名口座の変形なので、必ず最後に個人名が明記されます。

個人名口座: オザワタカシ
屋号名口座: オザワコウニンカイケイシジムショ オザワタカシ

この屋号名口座を開設する際に、銀行から『税務署へ提出した開業届』の提出を要求されるのです。屋号名銀行口座を持っていると、個人事業主(フリーランス)としての信用度が上がるという意見があるのですが、私は半信半疑です。店舗運営や事務所運営が事業なら、屋号名口座は必要だと思います。

 

いかがだったでしょうか? 副業の事業規模が順調に大きくなって、「開業届」の提出が必要になるように願っています。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆

 

 

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