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カテゴリ:企業再生

中小企業の後継者難

少子高齢化の日本では、相続問題が大きなテーマになっています。銀行や弁護士・会計事務所等のサービス業にとって、相続問題は動く金額が大きいことから、従来から貴重な手数料ビジネス収益源となっています。特に他の収益源が尻すぼみとなっている現状では、これら銀行・士業らが特に力を注いでいます。

事業を営んでいる経営者にとって、相続は会社の事業承継問題に直結します。個人の相続とは違って、法律・金融・税務・保険が複雑に絡み合う事業承継は、銀行・士業にとっては垂涎の的の案件になります。

ところで、日本の中小企業の事業承継の現状はどのようになっているのでしょう。中小企業庁が公開している資料(中小企業庁「事業承継に関する現状と課題について」(2016年11月公表)より抜粋)から俯瞰してみたいと思います。

 

親族外承継の増加

この表は、現経営者と先代経営者との関係を示したものです。在任期間の短い現経営者、すなわち最近事業承継が生じた中小企業では、親族以外の承継の割合が親族承継を上回っています。0~5年未満のケースで最も割合の高い承継先は。親族でも、親族以外の役員・従業員でもなく、「社外の第三者」であることには正直驚きです。「社外の第三者」の増加は、中小企業のM&A(会社売却)が活発になっていることが背景にありそうです。

親族ではなく、会社のことを良く知っている役員・従業員といった内部への承継の場合、承継用の資金確保が難しいということでしょうか。中小企業の経営スタイルは経営者の個人属性が強く、社外の第三者への承継が難しいというイメージは幻想だと分かります。

 

後継者難による廃業

後継者難による休業・廃業のニュースは、新聞紙面でよく見かけるようになりました。

『老舗廃業 後継者難で最多 昨年度382件 黒字の例も』

創業100年を超える老舗企業が苦境に立たされている。2017年度に倒産、あるいは休廃業した企業数は過去最多に上った。背景には業績悪化だけでなく、後継者不足による「黒字廃業」の例もある。老舗企業は雇用だけでなく文化的側面でも地域で果たす役割は大きい。老舗を含めた中小企業の事業を存続させようと、金融機関や企業の動きが活発になってきた。

日本経済新聞 2018年5月28日記事より抜粋)

60歳以上の経営者へのアンケートでは、約半数以上が自らの代での廃業を予定しています。個人事業の規模だとその傾向が顕著で、約7割が自らの代で廃業を予定しているそうです。

廃業の理由をみると、個人事業=自分の事業といった考えや、将来性(収益性)へ不安が上位に上がってきます。「子供に継ぐ意思がない」という理由も、将来性(収益性)と関連しているでしょう。「適当な後継者が見つからない」という理由が6.6%になっていますが、もし事業が魅力的なら大きな問題にならないように思います。

これらの概況を見ていると、「業績が悪くて承継出来ない、させたくない」というケースよも、「業績はそんなに悪くないが、将来性を感じないので、子供や第三者への承継を考えないというケースが圧倒的に多いようです。ここでいう「業績はそんなに悪くない」というのは今後の業績見込みが現状維持レベルなので、今後多くの市場が縮小していく日本では、「現状維持レベル=縮小」になってしまいます。

 

 

事業承継と廃業

企業再生案件を検討している時にいつも思うのですが、「事業消滅=悪」だとは決して思いません。会社が経営破綻で消滅したとしても、経営者や従業員が早く新たな次の事業・生活に移動出来るなら、むしろハッピーなことだと思うのです。一番大変なのは、先の展望が見えない中で、ひたすら我慢を強いられる状態が続くことだと思っています。

事業承継も、廃業するにしろ他の選択肢を模索するにしろ、外野があまり騒ぐ必要はなく、経営者自身の判断を尊重してサポートできる姿が自然だと思います。相続税対策として不自然な事業承継スキームが組まれている案件に遭遇すると、暗澹たる気持ちになることもあります。

 

事業が小さかったり業績が良くない場合は、事業承継の相談をしたくても、案件の収益化(お金にならない)が出来ないので、あまりまともに検討してもらえる相談先がないことも多いです。一方で事業の収益力が高ければ、相談するまでもなくあちらこちらから色んな話が舞い込んできます。事業承継の一番の近道は、経営に集中して収益力を高めることであり、そうすることで事業承継の選択肢が多くなるのです。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆

 

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