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カテゴリ:企業再生

人件費の概算計算と法定福利費(2018)

法定福利費のみを考慮した人件費の概算は給与額面×116%になります。事業計画で人件費の概算計算をするとき、私は人件費を給与額面×125%~130%で計算しています。給与額面の他、残業代・法定福利費・交通費は必須の費用です。幅があるのは、残業代のブレ幅の他、会社の制度によっては厚生年金基金や退職金等の付加的要素があるからです。賞与も含めるなら、給与額面の150%~です。

人件費の概算計算の内容で検索されて、このブログに到達される方が多く質問も受けます。2017年のブログ記事では法定福利費の平成29年度(2017年度)の数字だったので、今回平成30年度(2018年度)版に更新しました。といっても大きな変動はなく、毎年更新される介護保険料を変更したり等のマイナーチェンジです。

 

法定福利費(平成30年度)16% の内訳

社会保険の一覧と負担料率の平成30年度版です。(実際には都道府県や業種によって差があるのですが、合計でも±1%未満の差です。)

法定福利費とは「会社が負担する、法律で定められている福利厚生に関する保険料」を意味していて、具体的には健康保険料や厚生年金保険料等を指します。給与明細を見ると、税金以外に多くの控除項目があります。従業員視点でのみ給与明細を眺めていると、「手取りって少なくなるなぁ」としか思わないのではないでしょうか?良く見てみると、多くの場合、税金(所得税・地方税)よりも社会保険料の方が金額が多いですよね?

社会保険料は会社(事業主)と個人(被雇用者)がほぼ折半して負担しています。その料率は合計約31%強、これをほぼ折半して会社が16%、個人が15%を負担しています。例えば、年収額面500万円なら社会保険料合計156万円以上です! また会社負担額は約80万円になります。つまり、額面500万円の給与を従業員に払おうとすると、会社は法定福利費込みで580万円の費用負担が必要となり、受け取る従業員は法定福利費控除後で424万円になっているのです。ここから更に所得税・地方税が控除されて手取りは更に減っていきます。

 

予想以上に大きな金額で驚いたのではないでしょうか?資金繰りに窮余した会社では、社会保険料の金額は税金以上に大きく、また国税より徴収圧力が緩い(赤字だとそもそも消費税以外の大きな税額が発生しません)ので、かなりの割合で滞納しがちです。このため、社会保険料と税金の徴収を一体化する議論が常にあるのですが、財務省と厚生労働省の縦割り行政の中では当面実現しそうもありません。

そうはいっても、督促→延滞金の発生→差押え(強制執行)という流れは税金未納の場合と同じで、逃げ切ることは不可能という点は同じですので、ご注意を!

 

法定福利費の上限

法定福利費の大部分を占める健康保険料と厚生年金保険料には、所得税や住民税と違って上限があります。健康保険料は標準月額(給与額面+交通費)135万5千円で、厚生年金保険料は標準月額60万5千円が上限になり、それ以上の標準月額の給与相当でも会社負担額・個人負担額の両方とも一定額で止まります。賞与にも同様に上限があります(健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)。

「総報酬制」(毎月の給与と賞与に共通の険料率をかけて計算される)なので、年収を月給と賞与のどちらに振り分けても法定福利費に変動はない仕組みになっています。

ただ頭の体操ですが、年収が1,000万円超のように極めて高い場合は、月額上限と賞与上限の関係から、年収を何分割して賞与支払回数1回にすると社会保険料が一番安くなる…のようなパズル計算もあります(現実的には、あまり意味がありません)。

法定福利費(社会保険料)が低いと誰が得をするのか?という議論はあります。例えば厚生年金保険料が低ければ、目の前の個人の手取りも多くなり会社負担額も低くなりますが、個人から見ると将来の年金受取額も減少するかもしれません。将来の年金受取なんて期待できないという考えもありますね。

 

追記(2019.04.08)

当記事中の数字を2019年度の数字にアップデートした
人件費の概算計算と法定福利費(2019)
を更新しています。

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
企業再生をテーマに情報発信 「企業再生人®ブログ

 

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