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カテゴリ:企業再生

DIP型更生手続

2018年6月22日に日本海洋掘削㈱(東証1部1606)が会社更生手続を申請しました。日本経済新聞等の報道によると、「日本郵船」が再建スポンサー候補に取りざたされています。

当社は、1968年4月に設立された海洋坑井掘削業者。日本および世界のさまざまな海域で海洋掘削リグを運用し、世界の幅広い海域で石油・天然ガス開発のための掘削工事を手がけ、長年にわたって国内産業界の幅広いバックアップを得ながら事業を展開し、2009年12月には東証1部に上場。近年ピークとなる2014年3月期の連結売上高は約401億3400万円を計上していた。

しかし、近年の海洋掘削市況の極端な長期低迷により業績が悪化し、2018年3月期には連結売上高約202億7200万円にとどまり、3期連続で営業赤字、経常損失を計上。加えて、一部の資機材について、事業環境の悪化に伴い収益が見込めず、減損の兆候が認められたため、多額の減損損失を計上していた。この結果、同期において約155億円の債務超過となるなか、関係者との間で事業再建枠組み等に関する協議が合意に至っていない状況を踏まえ、ここに来て自助努力による経営改善は限界に達し、今回の措置となった。

「帝国データバンク倒産・動向速報」2018年6月22日記事 より抜粋)

日本海洋掘削は、上場企業とはいえ、石油資源開発㈱(東証1部1606)が31%、三菱マテリアル㈱(東証1部5711)が20%の株主という、資源系会社特有の大企業同士のジョイント・ベンチャーのような会社です。「関係者との間で事業再建枠組み等に関する協議が合意に至っていない状況」とあるのですが、株主及び銀行間との利害調整が事前につかなかったのが不思議です。株主も上場企業であるために公平性・透明性と担保するために意図的に更生手続きを選択したのかもしれません。

 

DIP型更生手続

会社の説明によれば、現経営陣がそのまま経営する、所謂DIP型の会社更生手続になるそうです。2018年5月16日の企業再生人ブログ更生管財人とは」で説明した事業管財人の概念です。会社更生法の適用申請はかなり少なくなっていたので、この説明をするのに意味があるのかなあ?と思っていたのですが、あまりにタイムリーな話題だったので驚きました。

Q. DIP型の会社更生とは何か。今後の手続きはどうなるのか。

DIP型の会社更生とは、裁判所によって現経営陣が管財人に選任され、現経営陣が管財人として、裁判所の監督のもと、事業再建にあたる会社更生手続をいいます。 現経営陣が事業を継続していくのにふさわしいか等の点について、監督委員兼調査委員による調査が行われます。調査で問題がないとされれば、開始決定と同時に現経営陣が裁判所から管財人に選任され、現経営陣が管財人として事業を運営し、更生手続を進めていくことになります。

Q. 現経営陣はどのように責任を取るのか。経営者は変わるのか。

当社は、事業の再建には現経営陣が引き続き経営にあたることが最良であり、それが経営者としての責任を果たすことにつながると考えております。現経営陣が事業を継続していくのにふさわしいかという点については、裁判所から選任された調査委員による調査が行われます。

日本海洋掘削㈱HP よくある質問 より抜粋

 

DIPとは?

DIPとはDebtor In Possession(占有を継続する債務者)の略語で、旧経営陣が残り再建に当たっている企業を意味します。「DIP型更生手続」とは聞きなれない言葉です。日本では制度上、DIP型の法的再建スキームは民事再生を指すからです。言葉としては「DIPファイナンス」の方が有名です。

 

DIPファイナンスとは?

再建型倒産手続きである会社更生法や民事再生法の申し立てを行った企業に対して、当面の営業に欠かせない運転資金等を融資すること。再建企業向け融資とも呼ばれる。再建企業に対し安定的に資金を供給することで、対外的な信用力を向上させ、再建計画の円滑な履行を可能とするのが目的。金融機関にとっては、通常の融資よりも大きなリスクを負うこととなるが、その分だけ通常よりも高い収益を期待できる。日本では、2001年4月の緊急経済対策にDIPファイナンスの円滑化が盛り込まれたこともあり、日本政策投資銀行を中心に供給が増えた。当初、実施例が少なかった民間金融機関の中にも、近年は積極的に取り組むところもある。私的整理を行う企業への融資等を指す場合もある。
(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」より)

日本では、DIPファイナンスは、法的整理申立以前の債権より優先弁済される共益債権と位置付けられて、制度的に他の債権よりも優先弁済が保証されています。(制度外のDIPファイナンスは、実務上あまり見受けられません。)

現経営陣が更生手続での管財人就任が予定されているということは、ある程度、裁判所側と事前合意が出来ていると思います。また、今回のDIP型更生手続スキームでも、金融機関とのDIPファイナンスも事前に内定されているように推測します。

 

なお、国立研究開発法人「海洋研究開発機構」の地球深部探査船「ちきゅう」の窓口業務と管理を手がけていて、関連会社の日本マントル・クエストが「ちきゅう」の運用をしています。日本唯一の球深部探査船「ちきゅう」の運営に支障が無ければいいなぁと願っています。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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