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カテゴリ:企業再生

事業再生ADR

2018年6月25日に田淵電機(東証1部 6624)が経営不振から事業再生ADRの正式申込を実施し受理され、7月4日に第 1 回債権者会議が開催されました。

事業再生 ADR 手続における全お取引金融機関を対象とする第 1 回債権者会議成立・同意に関するお知らせ

第 1 回債権者会議無事成立し、全お取引金融機関から「一時停止通知書」について同意(追認)を得るとともに、一時停止期間を事業再生計画案決議ため債権者会議終了時(会議が延期・続行された場合に、延期・続行された期日を含みます。)まで延長することにつきご了承をいただきました。また、事業再生計画案協議ため債権者会議(第 2 回債権者会議)及び事業再生計画案決議ため債権者会議(第 3 回債権者会議)開催日時についても、後述するスケジュールとおりご了承いただきました。さらに、当社、主要取引金融機関から、資金調達(DIPファイナンス)を行うことを計画しておりますが、当該借入れを行うこと、当該借入れに係る債権について優先弁済権を付与すること等についても、全お取引金融機関からご了承をいただきました。

今後、事業再生ADR手続中で、全お取引金融機関と協議を進めながら、公平中立な立場にある事業再生実務家協会より調査・指導・助言をいただき、事業再生計画案を策定し、第 1 回債権者会議でご了承いただきましたスケジュ ールに基づき、全お取引金融機関同意による 成立を目指してまいります。

【田淵電機HP「IR情報」より】

 

事業再生ADRとは?

ADR (Alternative Dispute Resolution)とは、「 裁判外紛争解決手続 」 の略称で、訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続のことです。

日本でのADRの手続は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律を根拠法とし、法務大臣の認証を受けた事業者 ( 認証ADR機関 ) がその手続を実施します。

「当事者間のみの話し合いによる解決」と「裁判による解決」の中間的位置づけです。当事者間のみだと紛糾しやすいですが、裁判になる前に、中立な第三者が介入することで話し合いで紛争解決を目指す制度です。

 

事業再生関係では、平成30年4月1日現在以下の2業者が認証を受けています。

事業再生実務家協会(事業再生ADR事業本部)
企業再建・承継コンサルタント協同組合(中小企業経営再建紛争解決センター)

法務省HPより

 

事業再生ADRとは?

事業再生ADRは、ADR手続の一種であり、「過剰債務に悩む企業」の問題を解決するため、平成19年度産業活力再生特別措置法(産活法)の改正により創設され、平成25年度産業競争力強化法(以下、「強化法」という。)第51条乃至第60条)により引き継がれた制度です。

事業再生ADR手続の利用目的は、事業価値の著しい毀損によって再建に支障が生じないよう会社更生法や民事再生法などの法的手続によらずに、債権者と債務者の合意に基づき、債務 ( 主として金融債務 ) について、猶予・減免等をすることにより、経営困難な状況にある企業を再建することであります。

事業再生実務 HPより抜粋】

 

事業再生ADRの利点

上場企業にとって「事業再生ADR」は、大きな利点があります。会社更生法や民事再生法等の法的整理ではなく私的整理なので、上場廃止基準に抵触しないからです。上場を維持しながら、債権者集会の決議を得られれば民事再生法と同様の経済効果の下、事業再生を図れることになります。

会社にとって大きな債務とは「銀行からの借入」を意味します。すなわち大口債権者です。民事再生法といった法的スキームでは、大口債権者だけでなく取引先等の一般債権者へも一律同様に債権カット求めることになってしまいますが、事業再生ADRでは、会社と大口債権者間の交渉のみで、一般債権者へは通常取引のまま波及させないことが可能なのです。

 

東京商工リサーチの取材によると、

 田淵電機の2018年3月末の借入金は、連結ベースで106億5,800万円、単体で67億2,400万円。田淵電機の担当者は東京商工リサーチの取材に、「ADRの対象としている金融債務の総額は開示していないが、対象は11行ですべて国内の金融機関。DIPファイナンスはメインバンクのみずほ銀行から調達する」とコメントした。

【東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年7月6日号掲より抜粋】

とあります。メインバンクのみずほ銀行からのDIPファイナンスが予定され、銀行団との交渉は順調そうです。事業再生ADRスキームの下で早期復活が出来ればいいですね。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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