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カテゴリ:企業再生

『退職願』と『退職届』

厚生労働省HP「新規学卒者の離職状況」によると、大卒新人で就職後3年以内に退職した割合は、従業員1,000名以上の会社では24.3%、従業員500人未満の会社では31.9%~59.1%と、全体平均でも3割を超えています。

同僚の退職に影響され、別の社員も退職を決意するなど、若手社員らが次々辞めていく「連鎖退職」という言葉すら出来ています。

飲食店等のサービス業でも、人手不足から「お店を回し切れていない」状態を良く見掛けるようになりました。接客業を筆頭にしたサービス業に就労する若手従業員の絶対数が、少子高齢化で激減しているのです。以前は「もっと給料・時給を上げないと人が集まらないんだろうな」と店内を見ていましたが、最近は「少ない人数で接客業サービスをしてくれてありがとう!」と、客ながらに思うようになりました。「お客様は神様」は遠い昔の話で、「優秀な店員さんは仏様」だと思うのです。

少子高齢化によって会社と従業員の力関係が逆転し、会社が人材を選ぶ時代から、人材が会社を選ぶ時代に入っています。

 

退職願と退職届の違い

慢性的な人手不足から、職場がブラック化している会社も見掛けます。中には、「退職届を受け取ってくれない」のような、従業員の良心と法的無知に付け込んで、可能な限り退職日を遅らせるブラック会社もあります。ブラック化している職場を放置しておきながら「勝手に辞められると皆が迷惑する」「勝手に辞めて損害も出ているから弁償させるぞ」と、脅すのです。

従業員(期間の定めのない、所謂正社員)の退職には「自主退職(任意退職・依願退職)」と「合意退職」があります。ドラマで上司に進退伺のように「退職願」を出すシーンを良く見ますね。一般的には「退職願」(合意退職の申し出)→会社と話合い→退職日や引継ぎ方法の決定→円満退職が王道です。

 

自主退職 →「退職届」
労働者の一方的な意思表示により退職の効力が発生します。会社の同意や承諾は一切必要ありません。退職届が会社のもとに届き、一定期間が経過したのちに退職できることになります。この場合、退職届を撤回することは不可。

合意退職の場合 →「退職願」
退職願の提出によって会社に合意解約を申込み、会社が受理すると退職の効力が生じます。会社の受理前であれば、退職願の撤回も可。

 

一般的には、円満退職を意図して合意退職を目指すべきですが、それは相手によりけりです。ブラック企業に入社してしまったら一刻も早く脱出するのが肝心。ブラック企業は、「もっと自分は我慢すべき」「今、自分が辞めると残る人が困る」という真面目な心情に付け込んで、出来るだけ使い捨てにしようとしているだけなので、そんなブラック企業に付き合って、自分の心身が傷ついてからでは遅いし勿体無い。そもそもブラック企業を円満退職することなんか初めから期待できないので、合意退職を目指すのは無意味です。さまざまな脅しや嫌がらせを受けることを想定した心構えを持って、サクッと退職届を出す(自主退職)方が良いです。

 

「最低でも3年は働き続けないと、どこにも転職できない」「転職履歴が多いと、次の転職先が見つからない」「その年齢だと、次の転職先の条件は必ず今より悪くなる」はブラック企業側の常套文句です。良く考えて下さい。ブラック企業の提示している就業条件(給与・残業代・有給休暇の付与)は、既に他の企業よりも悪いので、今以上に悪くはなりません。仮に多少悪くなったとしても、それが何だというのでしょう?心身が傷付いてどのみち長期就業できそうも無い職場に未練がありますか?

 

会社は退職を拒否出来ない

従業員(期間の定めのない正社員)からは,2週間の予告期間を置けば,いつでも雇用契約の解約(退職)ができます(民法627条1項)。理由に制限はありません。従業員の勝手な意思で退職して良いのです。

何度も書きますが、一般論では周囲の迷惑や次の自身のキャリアも考えて、会社と話合いで合意退職による「円満退社」が理想です。

ですが相手がブラック会社であれば、「勝手に辞めて~」と言ってくるのは無視しましょう。勝手に辞めるのが自主退職の原則です。理由なんて「一身上の都合」だけで良いのです。「退職届」(自主退職)の場合は、労働者の一方的な意思表示により退職の効力が発生し、会社の同意や承諾は一切必要ありません。

もし上司が退職届を目の前で破り捨てたり、「受け取らない」なんて言い出したら、逆にシメたものです。録音でもして、是非、労基署か弁護士さんに相談してあげましょう。ブラック会社の不法行為追求のいいネタになります。

 

退職予告期間が就業規則で2週間以上だったら?

よく「退職予告期間は2週間」と説明されていますが、それは『日払い』『週払い』の従業員の場合です。月給制の正社員の場合は、正確には「対象月末の2週間前」と解されます(627条2項)。9月末に退職したければ9月15日までに退職届を退出して下さい。9月16日以降だと、最短退職日は翌10月末になります。

就業規則で『退職は1か月前に申し出る』のように規定されていて、民法規定と就業規則が異なる場合は話がヤヤコシイです。学説では民法規定が優先されると解されていますが、それを明示する法律・判例がありません。また、就業規則が優先されると解する考えも有力で、仮に裁判になるとどちらに転ぶか分かりませんし、民法規定優先とされても、会社側からの損害賠償請求の余地も残ります。

就業規則で退職予告期間が定められていたら、裁判でガチンコ勝負する覚悟が無ければ、まずはそれを遵守する心がけでいて下さい。

 

従業員側から一方的に即日退職は出来ない

即日退職とは、その日のうちに会社を辞めて、退職を告げた日またはその翌日から出勤しなくなるというものです。退職予告期間が民法で規定されている以上、オススメしません。

この場合、無断欠勤扱いになってしまうので、懲戒解雇という扱いにされてしまったり、無断欠勤扱いで会社から損害賠償を請求される可能性もあります。

 

しかし、相手がブラック企業であったり、上司からのパワハラ・セクハラがあるような場合は別です。「退職届」+「有給休暇消化」の組み合わせのように、実態として「即日退職」と同じ効果も狙えます。

ブラック企業からの脱出は、アナタの強い退職意思がまず必須です。アナタの真面目な心情や無知に付け込まれて利用されないようにしましょう。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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