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カテゴリ:企業再生

業績予想の修正基準

今日は2月13日で、2019年3月期決算の会社の第3四半期決算短信の開示がほぼ出揃ってきました。適時開示ルールでは、四半期決算短信は金融商品取引法に基づく四半期報告書の提出日よりもある程度前に開示することが適当とされ、目安としては決算期末と同等(以決算期末後45日以内)上でかつ、30日以内が望ましいとされています。(決算短信・四半期決算短信 作成要領等より) 2019年3月期決算の第三四半期は2018年12月末、そこから45日以内とすると、2月15日までに開示する必要があるのです(45日ルールと言います)。

米中貿易衝突の影響で中国市場減速が指摘されていますが、その影響か、下方修正をする会社が多いように見えます。

有価証券上場規程(東京証券取引所)

(決算短信等)
第404条
上場会社は、事業年度若しくは四半期累計期間又は連結会計年度若しくは四半期連結累計期間に係る決算の内容が定まった場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。

 

業績予想の修正基準

決算短信で開示されている業績の上方修正・下方修正ですが、どのくらいの幅があると修正開示されるかご存知ですか?

☆売上高に、10%以上の増減が発生した場合
☆営業利益・経常利益・当期純利益に30%以上の増減が発生した場合

です。

問題となるのはその発表のタイミングです。上方修正というグッドニュースにせよ、下方修正というバッドニュースにせよ、株価に大きな影響を与える要素です。また会社側からすれば、いったん修正発表をしてさらに何度も修正というのもカッコ悪い(下手をすれば風説の流布・株価操縦のような疑惑を持たれる)ので、数値が確定するギリギリまで発表を控えがちです。このため、決算発表と同日(同じタイミング)という開示スタイルが圧倒的になっていて、「何のための業績修正開示なんだろう?」と思わざるを得ません。

まして、「上場会社における業績予想開示の在り方に関する研究会報告書」の提言(2011年10月)の提言にもあるように、業績予想はあくまで予想であって、その達成を約束する趣旨のもの(経営者によるコミットメント)ではありません。

あまり一般的には知られていませんが、決算短信での業績予想開示は、強制開示項目ではありません。合理的な業績予想の算定は困難であり、適切な予想の開示ができないと判断されるような場合は、業績予想は非開示でもOKです。

有価証券上場規程(東京証券取引所)
(予想値の修正等)
第405条
上場会社は、当該上場会社の属する企業集団の売上高、営業利益、経常利益又は純利益(上場会社がIFRS任意適用会社である場合は、売上高、営業利益、税引前利益、当期利益又は親会社の所有者に帰属する当期利益)について、公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前連結会計年度の実績値)に比較して当該上場会社が新たに算出した予想値又は当連結会計年度の決算において差異(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして施行規則で定める基準に該当するものに限る。)が生じた場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。
2 上場会社は、当該上場会社の剰余金の配当について予想値を算出した場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。
3 上場会社は、法第166条第2項第3号に掲げる事実が生じた場合(前2項に規定する場合を除く。)又は同条第2項第7号に掲げる事実が生じた場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。
4 連結財務諸表を作成すべき会社でない会社に対する第1項の規定の適用については、同項中「当該上場会社の属する企業集団」とあるのは「当該上場会社」と、「連結会計年度」とあるのは「事業年度」とする。

 

業績予想非開示の例

日本テクノ・ラボ(札幌アンビシャス 3849)は第2四半期まで業績予想非開示でした。

3.平成31年3月期の業績予想(平成30年4月1日~平成31年3月31日)

平成31年3月期の業績予想につきましては、現時点において合理的な業績予想の算定を行うことは困難であり、 適切な予想の開示ができないと判断したことから控えさせていただきます

日本テクノ・ラボ 「第2四半期決算短信」(2018年10月31日)より

 

業績予想非開示でしたが、第3四半期開示時に「業績予想の修正」として、業績予想を期の途中から開示します。

先に発表いたしました平成31年3月期第2四半期決算短信におきまして、平成31年3月期の業績予想につきましては、その時点における合理的な業績予想の算定は困難であり、適切な予想の開示ができないと判断したことから控えさせていただきましたが、先の発表より1カ月が経過した現時点におきまして、現在進行中の大型案件の開発業務を本年度内に完成させる予定が立つに至りましたので、上記のとおり予想いたします。

日本テクノ・ラボ「業績予想の修正に関するお知らせ 」(2019年1月31日)より

 

このように、業績予想非開示もOKですし、期の途中から業績予想を開示してもOKです。利益の絶対金額が小さい上場企業では、±30%なんてスグにブレてしまいます。ちなみに例示の日本テクノ・ラボの前期(2018年3月期)の営業利益は2百万円でした。2百万円の30%相当というと60万円です。

 

また、勘違いされがちですが、例え業績予想非開示会社であっても、前期実績値との変動

売上高に、10%以上の増減が発生した場合
営業利益・経常利益・当期純利益に30%以上の増減が発生した場合

であれば、適時開示が必要です。

 

上方修正は良い、下方修正は悪いと単純に考えるのはイケマセン。その対比のもとになる業績予想が対前期比でどんなベースだったのかをまず考えましょう。業績修正で反射的に一喜一憂する考え方は誤判断を招きやすいと思います。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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