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カテゴリ:企業再生

連結決算とは

連結決算もしくは連結会計とは、連結財務諸表を作成する決算作業・会計を言います。略語として『連結(れんけつ)』と呼ばれ、この対義語が個別財務諸表に対応する『個別(こべつ)』『単体(たんたい)』です。

親会社と子会社・関連会社から構成される企業グループの経営成績は、どこかの1社のみの経営成績を見ても分からない。企業グループ全体の経営成績を見て判断しましょう、という趣旨です。

連結財務諸表作成の前提となる企業集団(連結企業集団)は、親会社とその連結子会社から構成される。子会社の経営意思決定は基本的にすべて親会社により行われるため、事実上、企業集団は一体として事業活動を行っていると捉えられる。このため、財務報告に関しても、個々の会社という枠を超えて、企業集団全体としての観点から財務諸表を作成・開示することが求められる。

(ウィキペディア「連結財務諸表」より抜粋・引用)

 

現在では「連結決算」は、上場企業では当たり前の会計になりましたが、これは法律によって上場企業は「連結決算」導入が強制されているからなのです(金融商品取引法第24条1項、会社法444条3項)。導入が開始されたのは2000年の「会計ビックバン」と呼ばれた時代の話なので、既に遠い昔の話になります。

上場企業ではなく、圧倒的多数を占める一般の非上場会社では連結決算は強制されていません。任意で連結決算をすることはOKです(会社法444条1項)。親会社・子会社・関連会社といった企業グループを形成しているのは、上場企業のみではありません。企業グループを形成している非上場会社でも「連結決算」任意適用はOKですが、「任意」とあるように、原則は「単体」決算とされています。

 

なぜ上場企業は連結決算が強制適用なのか?

「国際会計基準に順応するため」&「企業の財務報告をより正確にするため」のようにカッコイイことを言いたいのですが、実態は違います。企業グループを形成している会社群では、子会社や関連会社を使って特定の会社の利益を良く見せる利益調整が可能で、粉飾決算の温床になるからです。

 

特に金融バブル時代に様々な投資をしていた会社の多くは、金融バブル崩壊によって多額の損失や含み損を抱えました。こういった損失や含み損を抱えた不良資産を子会社・関連会社に押し付けて親会社の経営成績を良く見せるケースが頻出したのです。

このような粉飾手口は「飛ばし」と呼ばれ、とても古典的手口です。連結決算によって子会社・関連会社を悪用した「飛ばし」が使えなくなると、子会社ではなくても実質的に支配している協力会社や実態が分かりづらいファンドを使った「飛ばし」が横行するようになります。このため、どこまでを「連結の範囲」に含めるかが常に議論になり、この「連結の範囲」をどんどん強化・拡大する改定が行われてきています。

最近では、架空在庫を知り合いの会社間で飛ばし合う「循環取引」や、東芝粉飾決算で用いられた「資本関係の全く無い下請け会社への不良在庫押し付け」が有名になりましたが、これらも「飛ばし」の派生形です。国内取引先だとバレやすいので、海外取引先を使った粉飾決算や不正への進化もありました。

 

非上場企業の連結会計はなぜ任意なのか?

非上場企業の場合は、なぜ「連結会計」導入が任意のままなのでしょう? 連結決算作業にそれなりのコストがかかるという理由だけではなく、財務諸表の報告先が上場企業とは違うという点が最大の理由です。

非上場企業の財務諸表の報告先は、株主という内部関係者を除くと、外部報告先は税務当局金融機関になります。身内である内部関係者を粉飾決算によって騙しても、あまり意味がありません。

つまり、上場企業のように不特定多数の株主が存在しない非上場企業にとっての粉飾決算とは
① 会社の課税所得(利益)を減らすための、逆粉飾
② 金融機関の融資を獲得・維持するための粉飾

が主たる目的になります。

 

① の場合は、利益をどこの子会社・関連会社に飛ばしても飛ばした会社先で納税が生じてしまうので、利益嵩上げの粉飾決算の意味がありません

② の場合、金融機関サイドも与信審査において疑似連結思考で粉飾決算対策をしています。具体的には、投資勘定やグループ内貸付金の保守的評価や統計的ベンチマークを使用した企業評価です。

 

あまり建設的理由ではありませんが、未上場企業が粉飾決算や不正に手を染めても、結局は自分で自分の首を絞めるだけなのです。このため連結決算を一律に強制適用としていません。

一方で、企業グループを形成する未上場企業クラスであれば、正確・迅速な経営指標の把握と社内不正行為の防止は当然に欲するところです。このため法律では求められていなくても積極的に連結会計を導入して経営成績を迅速・正確に把握し経営判断に役立て、社内の不正行為を牽制しようとする会社が多いのです。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
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