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カテゴリ:企業再生

オーバーローン

オーバーローンとは経済学用語で本来は「銀行の貸出額が預金を超過している状態」を指します。銀行は「預金」を集めて、その預金を「会社・個人への貸出」して運用し、その運用益で「預金」の利子を還元しています。オーバーローン状態では、集めた預金以上の貸出をしていて、不足分は中央銀行(日銀)からの借入で補います。このため銀行の財務状況は一般に不健全な形になっています。

 

本来の意味とは違って、この「オーバーローン」という単語が

① 不動産を購入した時の借入金の残高が現在の不動産の時価を上回っており、その物件を売却してもローンが残ってしまうような状態(ウィキペディアより)

② 不動産購入時に、不動産価格以上のローンを組むこと

で広く使われていて、こちらの使い方の方が馴染み深いかもしれません。特に②は銀行を騙している違法行為です。

 

サラリーマン大家の終焉?

「かぼちゃの馬車」融資問題

スルガ銀行は、1980年代にリテール融資に特化した現在の業務形態にシフト。不動産向けローンでは、建物の耐久年数を大幅に超える長期融資など、他行が及び腰となるような、投資用物件への融資メニューも積極的に展開し、大手行では最短でも2週間かかる審査を5営業日で終わらせるなど、迅速な審査にも定評があり、森信親金融庁長官から、他行に先駆けてニッチな分野を開拓し、収益を上げている例として賞賛されるほどの成果を上げた。

こうした投資向け不動産に対する融資が地方銀行の新たなビジネスモデルとして脚光を浴びる中、スルガ銀行は、2014年以降、急成長していたスマートデイズとその投資家に対する融資に傾倒するようになる。

(略)

スマートデイズは、セミナー等を通じて集めた、シェアハウスオーナーに関心を持つ会社員らにメーンバンクであるスルガ銀行での融資を勧め、提出させた通帳の写しの預金残高が少なかった場合には、写しを改竄するなどの手口で、貯蓄や所得を水増しした上で、投資家にスルガ銀行の横浜市内の支店を通じて、融資をさせていた

(ウィキペディア「スルガ銀行」より抜粋・引用)

 

オーバーローンと聞くと、「かぼちゃの馬車」によるサブリース不動産投資が頭に浮かびます。「頭金ゼロでフルローン」「自己資金0円で不動産投資家になれる」などなど、資金も不動産投資経験も殆ど無いサラリーマンが家賃収入による不労所得で生計を立てよう!が謳い文句の不動産投資勧誘が跋扈していました。

ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」に代表されるとおり、個人が不動産投資でキャッシュフローを得る戦略は大変有効だと思いますし、否定する気はありません。しかし不動産投資は頭脳ゲームです。学習と経験をスキップして未経験の素人が勝利するゲームではありません。

 

「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズは

・投資用不動産の担保価値(収益性)を水増し
・借り手の返済能力(収入・預金残高)を改竄して水増し

することにより、オーバーローン状態を創出していました。

 

オーバーローンの加害者は誰か?

スルガ銀行の不正融資問題は、「預金者から預かった資金を運用するに当たり、本来必要な審査が杜撰で融資している」という銀行の経営問題で、この不正融資により回収不能が生じて損失を被った場合、被害者は銀行(株主)及び預金者(債権者)です。

本来なら得られなかったであろう融資を書類改竄によって不当に得て不動産投資をしたオーナー側は、銀行を騙した加害者です。

 

一義的に責任をとるべきスマートデイズは、2018年5月に想定どおり破産開始決定済み。金銭的回収が難しいオーナー側は

『詐欺スキームに手を貸した銀行のずさんな融資審査により、1000人もの被害者が出る信じられない事件となりました。一人では決して解明できなかった詐欺的仕組みが徐々に明らかになりつつあります』

と詐欺被害者として銀行側に責任転嫁を図り金銭的回収を試みていますが、加害者が被害者のようにふるまう姿勢には大きな違和感があります。自らの不動産投資に自己資金も用意せず、損益計算が異常に甘い不動産投資計画をロクに吟味せず、ただ業者と銀行に騙された無垢な不動産投資家だという主張でしょうか?

 

届かなかった内部告発

2018年9月7日に「スルガ銀行株式会社 第三者委員会」による『調査報告書』が公表されています。

<お取引先に関するご報告>

〇スルガ銀行の取引先である株式会社スマートライフの実質的経営者は下記のような経歴の者である。
・住専に関連した詐欺での前科がある。
・出所後は不動産業を始め数社の実質的オーナーとして経営したが、すべて計画倒産させている。
・元妻名義で法人を設立後、スマートライフに出所し、株主となっている。会社の決定権を全て握っており、スルガ銀行の担当者とも直接やりとりしている。

〇スマートライフの30年サブリース保証は家賃相場価格より倍以上の設定で収益シュミレーションを行ない、高額のシェアハウスを販売している。サブリースの支払いは現行家賃では回収できず、到底まかなえない状態。

上記を充分に調査の上、スルガ銀行のコンプライアンス規定に問題がないか判断をした上で取引をした方が良いのではないか。

(第三者委員会 調査報告書P26 『2015年2月の告発』より抜粋・引用)

 

2015年2月の内部告発文書を発端に、スルガ銀行審査部は該当会社との取引を禁止します。その後どのようにスルガ銀行が、このシェアハウス不動産投資融資にのめり込んでいくかを「第三者委員会 調査報告書」では示しています。

調査報告書は300ページを超える分量なのですが、「第3篇 発生した問題」「第4編 発生した問題の原因」の部分だけでも読んでおくと、とても勉強になります。

 

住宅ローンのオーバーローン

不動産投資に関わらず、一般的な住宅ローンでのオーバーローンも犯罪行為です。頭金が容易出来ないからといって書類の改竄等でオーバーローンにしてしまうと、その事実が発覚した場合、銀行を騙した違法行為の加害者として一括返済を要求されても文句が言えません (詐欺罪として刑事告訴の対象になる可能性すらあります)。

もし不動産業者にそんなことを唆されたら気を付けて下さい。「自分は不動産投資なんかしないので、関係ない」と思わず、身近にも存在していることに理解して欲しいです。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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