企業再生人®ブログ

 
セカンド・オピニオン所属の企業再生人®が、企業再生をテーマに発信していきます
カテゴリ:企業再生

粉飾決算で問われる犯罪・罪

粉飾決算とは法律用語ではなくて、会計用語の一つで、『会社が不正な会計処理を行い、内容虚偽の財務諸表を作成し、収支を偽装して行われる虚偽の決算報告』を指します(ウィキペディア「粉飾決算」より)。会社が赤字なのに黒字に見せかけるパターン(粉飾)、脱税目的で黒字なのに赤字に見せかけるパターン(逆粉飾)があります。

犯罪行為というイメージはありますが、具体的にどんな罪に問われるかはあまり知られていません。決算書だけ黒字にしても資金繰り悪化は隠せないので、粉飾決算に手を染めた会社は遅かれ早かれ倒産してしまい、粉飾決算行為がウヤムヤになりやすいこともその理由だと思います。

 

上場会社の粉飾決算の場合

上場会社の場合はストレートに規定があります。金融商品取引法の中に「有価証券報告書等の虚偽記載」に対する罰則規定があります。

【個人(役員)の刑事罰】
10年以下の懲役若もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの併科(金融商品取引法197 条1項1号)

【法人の刑事罰】
・7億円以下の罰金刑(金融商品取引法207 条)
・課徴金制度(金融商品取引法172 条の2、172条の4)

【民事責任】
・個人(役員)及び法人に対する損害賠償責任(金融商品取引法21条)
・個人(役員)及び法人に対する株価下落による株主への損害賠償責任(金融商品取引法21条の2)
・個人(役員)に対する任務懈怠による損害賠償責任(会社法423条、429条)

【行政処分】
・上場規定に基づく上場廃止等

 

基本的には、未上場企業の粉飾決算の場合を同じような罪(特別背任罪、民法上の不法行為)が問われますが、立証責任の転換、損害額の推定及び時効等に関し、民法上の不法行為規定(709 条以下)の特則が置かれていて強化されています。

上場企業特有な罰則は、『個人(役員)及び法人に対する株価下落による株主への損害賠償責任(金融商品取引法21条の2)』です。粉飾決算発覚によって株価が下落した場合、その下落部分を賠償しなくてはイケナイのです。

また課徴金制度は刑事罰を科すに至らない程度の違反行為を抑止するためのものとして導入されており、違反行為の悪質性によって、刑事告発と課徴金の納付命令とを使い分けるという運用がされています。

 

一般的(未上場)会社の粉飾決算の場合

上場企業ではない未上場企業、すなわち一般的な会社の場合はどうでしょう?

【刑事罰】
・特別背任罪(会社法960条)10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、又はこれを併科
・詐欺罪(刑法246条)10年以下の懲役 ・・・粉飾決算による融資詐欺等

【民事責任】
・会社等役員等の任務懈怠による対会社損害賠償責任(会社法第423条)
・会社等役員等の任務懈怠による対第三者損害賠償責任(会社法第429条)
・民法上の不法行為による賠償責任(民法709条)

「役員等」は取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人を指します。

 

このように粉飾決算に対する法的責任は極めて重いのです。

 

これらの法的責任は主として会社や役員に課せられています。このため最初から意図的に粉飾決算によって銀行融資を目指し(融資詐欺)、倒産によって会社を消滅させて法的責任をウヤムヤにしたり、自分は役員にならないで法的責任を回避しようという悪質経営コンサルタントが徘徊している場合があります。

 

粉飾決算書で2億円詐欺容疑=ラジコンメーカー元部長逮捕

粉飾した決算書類で金融機関から融資金約2億円をだまし取ったとして、大阪府警捜査2課は2018年7日、詐欺容疑で、ラジコンメーカー「日本遠隔制御」(三重県松阪市、破産手続き中)の元財務部長(58)を逮捕した。容疑を認めているという。同社は別の金融機関からも多額の融資を受けており、同課は同容疑者が詐取した疑いがあるとみて調べる。

逮捕容疑は2014~16年、金融機関に売り上げを水増しした決算書や架空の事業計画を出し、融資金約2億円を詐取した疑い。

同課によると、同容疑者は14年ごろ創業者一族に近づき、当時の社長や役員を追い出して経営を掌握。詐取した融資金などは外国為替証拠金取引(FX)に投資し、約15億円の損失を出していた。

【時事通信 2018年11月7日配信より抜粋・引用】

ラジコンメーカー「日本遠隔制御」はホビー用ラジコン装置JR PROPO のブランドで知られていた東大阪市の有名な会社で、2009年には宇宙開発協同組合SOHLAの人工衛星である「まいど1号」の姿勢制御を担当した他、ドローンにも進出していました。

それが、同容疑者が経営に参加した後、業績が急速に悪化し、粉飾決算による融資詐欺と見事な転落をして2017年12月には破産に追い込まれています。

 

業績不振の会社には、怪しい「経営コンサルタント」が近づいて、会社や従業員を守るという大義名分を謳い、融通手形や融資詐欺などを持ち掛けているケースを再生現場で見掛けます。経営者には、そんな甘言には是非毅然とした態度で臨んで欲しいです。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
企業再生をテーマに情報発信 「企業再生人®ブログ

 

【玉利ようこ】
企業再生テーマのビジネスコミック 「企業再生人®ブログ

 

コメントは受け付けていません。