企業再生人®ブログ

 
セカンド・オピニオン所属の企業再生人®が、企業再生をテーマに発信していきます
カテゴリ:企業再生

アニメ制作で見かける『製作委員会』方式

映画やアニメの最後のテロップに「○○製作委員会(○○は作品名が多い)」という名称を良く見ます。委員会というと、遥か昔の学生時代を思い出します。

製作委員会方式(せいさくいいんかいほうしき)とは、アニメ・映画・テレビ番組などの映像作品や、演劇・ミュージカルなどの舞台作品を作るための資金調達の際に、ひとつの企業による単独出資ではなく、複数の企業に出資してもらう方式のことをさす。また、そのように複数企業に出資してもらった場合の出資企業の集合体を「製作委員会」と呼ぶ。

建設業等における共同企業体(JV)と同様の形態(パートナーシップ)に相当する。

ウィキペディア「製作委員会方式」より

 

私自身知らなかったのですが、日本のアニメ業界で「製作」と「制作」には、違う意味として区別されているそうです。お金を出す出資者(スポンサー)側が「製作」者、実際にアニメを作るのが「制作」者です。

2000年以降のアニメ業界では「制作」と「製作」を、それぞれ違う意味として区別する用法がある。

制作:作品(主に映像の部分)を実際に作ること。アニメを実際に作る制作プロダクションは「アニメーション制作(会社)」などと呼ぶ。

製作:そのアニメを作るために制作費を出資し、作品内容およびスタッフのコントロールを行い、作品全般における最終責任を負う。このような出資企業のことを「製作会社」(スポンサー)という。

「製作委員」という場合の「製作」とは、出資者の集合体のことをさすが、放送局やスポンサー企業などによって「製作」「制作」の使い分けの方針が違っており、あまり厳密に区別されていない。

ウィキペディア「製作委員会方式」より

 

ハイリスク・ハイリターン型になったアニメ製作

アニメ産業リポート2018サマリー版(一般社団法人日本動画協会)によると、アニメ産業市場(ユーザーが支払った金額を推定した広義のアニメ市場)は5年連続で増加し、2017年2兆円を突破、その主な要因は海外収入の急増にあるとしています。

 

一方で、製作側の視点でみたアニメ業界市場(全ての商業アニメ制作企業の売上を推定した狭義のアニメ市場)の推移は、2017年市場規模が2,412億円と、アニメ産業と比較して1ケタ小さくなります。

 

アニメをビジネスとして捉えると、キャラクターなどのアニメビジネスが非常に大きなレバレッジ効果をもっている確率は低いが当たるとデカい!)のです。アニメ産業の構成比率をみても、TV・映画・ビデオといった旧来型ビジネスは全体に占める比率は年々減少し、海外売上・商品化ビジネス・遊興(パチンコ・パチスロ)ビジネスへの比率がどんどん大きくなっています。

 

一方で、アニメ制作費は増加の一途の様相です。

 

「制作本数増加により、出資元の制作予算も上昇傾向にある」
「アニメーション制作において、ここ数年、予算に対してハイクオリティの内容を求められる傾向にあったが、徐々に制作予算のアップが認められるようになっている」
「他業界からの新規参入者が増えたせいか、制作単価が上昇気配にある」

 

これらを眺めてみると、アニメ製作は「ヒット作1本がでると『大儲け』するが、それ以外が軒並み赤字で、その大儲けの確率も10%未満」というような、ベンチャー投資に似たハイリスク・ハイリターン型のビジネスモデルです。

 

ちなみにアニメ製作費用の平均コストは、以下が一例です。

■キッズ向けTVアニメの製作資金例
・製作費1話1,000万円×52話(4クール)=5億2,000万円
・放送枠料2,500万円×12ヵ月=3億円
約8億2,000万円

■深夜枠TVアニメの製作資金例
・製作費1話2,000万円×13話(1クール)=2億6,000万円
・放送費用+宣伝費=4,000万円
約3億円

(「深夜アニメの製作資金は約3億円」Social Game Info2016年6月記事より引用)

 

アニメ制作会社が、ハイリスク・ハイリターン型のビジネスモデル、しかも1作品当たりのコストが3~8億円という製作コストをカバー出来ません。

オリジナルコンテンツ開発のために潤沢なアニメ製作費用を提供しているNetflixはとても稀有な存在です。Netflixは200億ドル(約2兆2,000臆円)以上の資金調達をして年間70億ドル(約7,700億円)という巨額予算で世界中にオリジナルコンテンツ製作&製作に邁進中です。現在も大赤字を計上していますが、アマゾンがそうであったように、彼らの計算・予測どおりに、コンテンツ配信プラットフォームを独占し巨大コンテンツプロバイダーとして世界に君臨出来るのかどうかは未知数だと思います。

 

「製作委員会方式」の登場

さて、前置きが長くなりましたが、ハイリスク・ハイリターン型&高コスト・ビジネスになったアニメ製作を、1社で資金負担するのではなく、複数社で共同出資によりリスクを分散する形式が「製作委員会」方式です。

 

例えば、アニメでヒットする確率が10作品のうち1作品だと想定されるとします。このうち資金不足から数本しか製作出来ないとすると、ヒット作に恵まれず全て不振作の可能性が高くなります。これが競馬券購入の結果なら笑い話ですが、制作会社の場合は、倒産や経営不振から他社へ吸収合併されてしまうというケースに直結です。一方、製作委員会方式によって10作品に資金投入することが出来れば、ヒット作品に恵まれる可能性が高くなります。出資金額に応じて利益が配分されるのでヒット作による利益も薄まってしまいますが、全作品不振作で倒産するよりイイ!と考えたのです。

 

この考え方は、分散投資の発想です。

 

制作会社の制作コストだけでなく、2次利用を想定している配信会社やゲーム会社から見ると、「ヒット作品権利の青田買い」の側面も強いです。いったんヒット作品になると、放映権等の権利の争奪戦が勃発し、権利使用料も高騰します。製作委員会方式で最初から出資していると、これらの権利を最初から安く得ることが出来るのです。(もちろんヒットするかどうかの保証はありません)

 

製作委員会方式のスキーム

「〇〇製作委員会」のような団体は、1995年に新世紀エヴァンゲリオンがヒットした後、その後、製作されたアニメ作品のスポンサー団体で使われ始め、そのアニメ番組のオープニング動画などでも制作会社などとともに紹介されるようになった。このような経緯のため、アニメ業界で「製作委員会」という用語が使われることが多い。

ウィキペディア「製作委員会方式」より

 

製作委員会方式のスキームは、ファンド運営と同じく、「民法上の任意組合」方式、「特別目的会社」(SPC)方式、「有限責任事業組合」(LLP)方式、「株式会社」方式と様々なスキームがあります。

放映権やキャラクター使用権等の管理一本化を考えるなら、「特別目的会社」(SPC)方式、「有限責任事業組合」(LLP)方式あたりがオススメでしょうか。制作直後にヒットしなくても、時間差でヒットすることもあり、これらの事務処理は10年以上継続させる必要もあります。その事務負担がアニメ制作会社を圧迫しているという話もあります。

 

世界に発信する日本アニメは、ビジネス投資対象に既になっていて、その制作サイズに合わせてファンド運営のように進化していくのかもしれません。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
企業再生をテーマに情報発信 「企業再生人®ブログ

 

【玉利ようこ】
企業再生テーマのビジネスコミック 「企業再生人®ブログ

 

コメントは受け付けていません。