企業再生人®ブログ

 
セカンド・オピニオン所属の企業再生人®が、企業再生をテーマに発信していきます
カテゴリ:企業再生

エンジェル投資家と投資失敗談

エンジェル投資家という言葉を聞いたことがありますか?

エンジェル投資家またはエンジェル(ヨーロッパにおいてはビジネスエンジェルと呼ばれている)は、創業間もない企業に対し資金を供給する富裕な個人のことである。投資の見返りとして株式や転換社債を受け取ることが一般的である。エンジェル同士でグループを形成し、情報の共有や共同出資を行う動きも見られる。

ウィキペディア「エンジェル投資家」より

相撲やスポーツ界では、『タニマチ』(ひいきにしている力士やスポーツ選手、歌手などの芸能人に多額の援助という形で後援し、後見人的立場となっている人物)という人物像があります。

タニマチで有名なのが、大阪の谷町6丁目で外科「薄病院」を開業していた薄恕一(すすき・じょいち 1866-1956年)氏。多くの力士・相撲ファンをサポートした他、直木賞のもととなった作家直木三十五を幼少期から面倒みていたことも有名です。薄恕一氏の姿が「タニマチ」の語源という説もあります。

写真:福岡県古賀市役所HP「有名人図鑑」より

 

エンジェル投資家はビジネス界の「タニマチ」と言いたいのですが、そう言い切れません。スタートアップ時の起業家を応援したいという想いは同じですが、「タニマチ」と違ってボランティア性よりも、明確に経済的利益も追及しているからです。

 

エンジェル投資家の概要

少し長いのですが、ウィキペディアの概要説明が秀逸なので、掲載します。

エンジェルという用語は、英国で演劇事業に資金供給する富裕な個人を表現した言葉に由来する。1978年、ニューハンプシャー大学の教授で、同大学ベンチャーリサーチセンター創設者のウィリアム・ウェッテルが、創業間もない企業に投資する個人を表現する言葉として“エンジェル”を使用し始めた。自らが所有する資金を投資するという点で、他社が出資した資金を投資するベンチャーキャピタルとは異なる。投資判断は個々人の判断に帰するが、実際に投資対象となっているのは信託や有限責任会社、投資ファンドなどである。

エンジェル投資家は、家族・親類・友人とベンチャーキャピタルの間に存在する資金供給の隙間を埋める役割を果たしている。友人や家族から1,000万円以上の資金を調達することは一般的には難しい。その一方で、伝統的なベンチャーキャピタルは1〜2億円以下の投資を検討することはない。そのため、エンジェル投資家は急成長するスタートアップ企業に対する第二段階の資金供給者となりうる。

2006年の米国の統計によると、投資総額ではエンジェル投資家が256億米ドルに対してベンチャーキャピタルが261億米ドルとほぼ同額だったが、投資企業数ではエンジェル投資家が51,000社に対してベンチャーキャピタルが3,522社と10倍以上の差が見られる。エンジェル投資家の投資に占める割合が多いセクターはヘルスケアと医療機器が21パーセント、続いてソフトウェアとバイオテクノロジーが18パーセントとなっている。

エンジェル投資家は極めて高いリスクを引き受けるため、それに見合うだけの高い投資収益を求める。投資の大部分は若い企業の倒産により完全に失われてしまうため、初期投資の10倍以上の収益が5年以内に得られる投資案件を探す傾向がある。収益確定のための方法としては、株式公開や他社からの企業買収が挙げられる。

エンジェル投資家の多くは引退した起業家や経営者であり、純粋な経済的追求を超えた理由で投資を始めることが多い。その理由としては、特定のビジネス領域における発展に乗り遅れないようにする、新しい世代の起業家群に対するメンタリング願望、自らの経験や人的ネットワークを有効活用したい、などが挙げられる。従って、純粋な資金供給に留まらず、経営面での貴重な助言や有力者の紹介などで企業を助けることもある。ベンチャーリサーチセンターによると、2006年現在、米国には234,000人のエンジェル投資家が存在する。

エンジェル投資家の傾向は
・投資対象はスタートアップ時の起業家
・エンジェル投資家の多くは引退した起業家や経営者
・投資規模は数百万円~数千万円、億を超える場合はベンチャーキャピタル
・初期投資の10倍以上の収益が5年以内に得られる投資案件を探す傾向
と纏められています。

 

実際、私の知っているエンジェル投資実践者の投資理由は
・自分の事業によって充分に経済的には恵まれた(お金目的は充分)
・経済的理由(利益追求)はするけど、社会的意義のあるモノにも投資していきたい
のように感じています。

 

弊社自身が企業再生投資とは別に、エンジェル投資を実践していることもあり、投資先紹介の問い合わせを頂くこともあります。ただ、このような場合、投資先紹介には躊躇するケースが多いです。

 

エンジジェル投資家への期待値

日本でのエンジェル投資の実態は、経済産業省委託調査として、2015年3月に野村総合研究所から『平成27年度 起業・ベンチャー支援に関する調査(エンジェル投資家等を中心としたベンチャーエコシステムについて)最終報告書』が公表されています。

400ページ超の分量なので全てに目を通すのは大変ですが、日本のエンジェル投資のアンケート結果が出ているので、ご興味のある方は是非ご覧ください。この中で

起業家から見て、個人投資家からの出資に対して期待することは
1位「資金調達」
2位「経営に対して干渉しないこと
3位「取引先の紹介」

というアンケート結果が示すように、「エンジェル投資家」側の目的と、エンジェル投資を受けたい側の目的が大きくズレていることを懸念するので、単純な紹介を躊躇するのです。

 

エンジェル投資側が「カネ」だけでなく自分の経験をもとに色々経営に口出し(干渉)したい場合は、「経営に過度に干渉して欲しくない」という起業家側との軋轢が出てしまうのです。分かりやすく言うと、「カネを出す以上、経営に口を出す」考えと、「その程度の出資金額で経営に干渉するな」という考えのバランス感覚です。

 

弊社でエンジェル投資の弊社の失敗例

弊社の投資実績の中で、エンジェル投資をするケースもあります。その中に、ある人物が起業家精神をもって事業を立ち上げるにあたり、その人物が中心となって本人自身の投資と複数社の投資家を用意したケースがありました。弊社もその起業・事業を応援する目的で出資をさせて頂いた投資案件です。

 

数年後、紆余曲折の上、残念ながらその人物と他の投資家の関係が悪化して、弊社100%傘下で事業継続が出来ないか?という打診を受けます。もともと応援目的の出資であって、事業・人員の丸抱え意思が無い旨を伝えると、次は事業を強制的に新規設立会社に移管しようというプランを提示されました。

不思議に思って他の出資家と連絡を取ると、案の定、移管計画に関して他の出資家とは合意がとれておらず、挙句には弊社が他の出資家と連絡を取ったことで逆ギレして、「お宅は大株主だから」と事業・人員を弊社に押し付ける形で、ロクに引継ぎの無いまま、その人物は去っていきました。

 

この投資失敗のケースではツッコミどころが沢山あります(笑)。ただ、ブログで説明するには、説明量からみて難しいでしょうか。「個人によるM&A(会社買収」や「エンジェル投資」の経験談は聞かれることが多いので、勉強会等の機会にケーススタディとしてお話させて頂いています。

 

エンジェル投資税制(個人所得税)

エンジェル投資を促進させるため、個人所得税の税制優遇措置が設けられています。この税制優遇措置の特色は、「売却益が生じた際の税制優遇」ではなく、「投資時の税制優遇」です。

つまり、「エンジエル投資は成功の確率が低く損失の可能性が高いので、売買損益に関係なく、投資した金額を投資時に全額損金(税務上の損失)として認めますよ」という趣旨です。ただし適用要件がそれなりにメンドクサイので、注意してください!

 

以前お問い合わせを頂いたのですが、弊社では「エンジェル投資税制」適用のサポート業務は一切していませんので、ご理解下さい。お問い合わせは中小企業庁もしくは税理士さんへどうぞ!

エンジェル税制の対象要件(中小企業庁HP)

エンジェル税制申請から確定申告までの流れ(中小企業庁HP)

 

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
企業再生をテーマに情報発信 「企業再生人®ブログ

 

【玉利ようこ】
企業再生テーマのビジネスコミック 「企業再生人®ブログ

 

コメントは受け付けていません。