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カテゴリ:企業再生

民事再生法の「再生手続き廃止」決定

「桃ちゃん餃子」製造 再生手続き廃止決定受ける

三桃食品(株)東北工場(資本金4745万円 山形県米沢市)は、7月17日に山形地裁米沢支部より再生手続き廃止決定および保全管理命令を受けた。今後、破産手続きに移行する予定。

写真:もぐナビ商品情報 より

当社は、1972年(昭和47年)5月に三桃食品(株)(静岡県焼津市、2015年4月破産手続き開始決定)の協力工場として設立。大手流通業者やスーパーマーケット業界を得意先として、餃子や中華まん、焼売などのチルド食品製造を行っていた。特に餃子製品では「桃ちゃん餃子」の愛称で知名度があり(チルド餃子ではグループとして全国トップクラス)、近年のピークとなる2006年4月期には年売上高約16億4600万円を計上。

しかし、消費低迷と食品業界の低価格志向により受注単価の低下を招き、収益性が低調となったうえ、設備投資負担が重く近年は欠損計上が続いていた。また、資本・人的関係があった三桃食品(株)の倒産が当社の信用低下につながるとともに、同社に対する不良債権の発生も経営を圧迫。2015年4月期以降は債務超過が続くなど、余裕の乏しい資金繰りを強いられていた。

こうしたなか、スポンサーを求めて事業再生を目指していたが、自力での再建を断念。2月15日に山形地裁米沢支部へ民事再生法の適用を申請し、3月18日には再生手続き開始決定を受けていたが、有効な再生計画の策定ができなかったことから、今回の措置となった。

帝国データバンク倒産情報 2019年7月30日配信』より抜粋・引用

「桃ちゃん餃子」を販売していた三桃食品(株)が倒産しても、「製造部門の三桃食品(株)東北工場のみが生き残ることは可能なのか?」とウォッチしていました。残念ながらスポンサーも付かず、破産手続きになりました。

 

再生計画認可前の手続廃止 とは?

裁判所は、次の事情のいずれかがあるときは、再生手続廃止の決定をします(民事再生法191条)。

民事再生法 第191条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、職権で、再生手続廃止の決定をしなければならない。

1 決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき

2 裁判所の定めた期間内に再生計画案の提出がないとき、または、期間内に提出された再生計画案が決議に付するに足りないものであるとき

3 再生計画案が否決されたとき、または、債権者集会が続行された場合に、最初の債権者集会の期日から2か月以内に再生計画案が可決されないとき

民事再生法の開始決定を受けたとしても、当初の見込みと違って、実効性のある「再生計画」が立たないこともあります。信用の失墜による売上急減や販路の喪失、手元運転資金の枯渇、従業員の離反、大口債権者の同意が得られそうに無いetc。

様々な要因によって、民事再生法スキームの中で黒字転換の再生計画案が立てられなければ、事業を継続すればするほど赤字を継続するだけになります。そのような場合は、裁判所が職権によって事業継続を停止させて破産手続に移行(民事再生法250条1項)し、残余財産を債権者へ均等配分して終了になるのです。

民事再生法は「会社再建時の債務返済のストップ・債務弁済額の減免」を目的としていて、事業の黒字化はあくまで会社側の経営努力にかかっています。会社再建時の経営陣によって実効性のある「再生計画」を立てられなければ、そこでお終いなのです。

 

再生手続き廃止決定の要因

実効性のある(決議に付するに足りる)再生計画案が無いケースの他にも、以下のような再生手続き廃止決定になるケースがあります。

〇債権届出期間経過後、再生計画認可決定の確定前に、再生手続の開始原因がないことが明らかになったとき(同法192条)。

再生債務者の義務違反があった場合(同法193条)
・再生債務者の業務および財産に関する裁判所による保全処分命令に違反したとき
・裁判所の許可または監督委員の同意を要する行為について、裁判所の許可または監督委員の同意を得ずにその行為を行ったとき
・再生債務者が、裁判所が定めた期限までに認否書を提出しなかったとき

〇再生計画認可決定の確定後、再生計画が遂行される見込みがないことが明らかになったとき(同法194条)。

 

再生手続廃止になると?

再生手続の廃止決定が確定すると、再生手続は将来に向かって失効します。そしてほとんどの場合破産手続に移行します。手続上は一般的な破産手続と変わりありません。

裁判所は職権で、強制執行等の中止命令、包括的禁止命令、業務および財産に関する保全処分、保全管理命令等を命ずることができます(同法251項1項)。

 

なお、再生手続廃止決定後、職権破産宣告までの間の空白期間でも、債務者の財産を第三者が管理する必要性が高い事案については、民事再生法79条3項を類推適用して、再生手続廃止決定のときに保全管理命令を発令し、保全管理人が財産や金銭を管理することができるように運用上の工夫をしています。(参考:鳥飼総合法律事務所 『倒産法 再生手続の廃止とその後の手続』)

 

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
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