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カテゴリ:企業再生

Jリーグ・クラブと「臨時収入」

思いがけずに懐に入ってきた収入…「臨時収入」があったら嬉しいです。お堅い話ですが、日本の会計基準(企業会計原則及び注解)では、一般的な「臨時収入」を「特別利益」として表示することを求めています。

企業会計原則及び注解

六 特別損益
特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する。(注12)

(注12)特別損益項目について
特別損益に属する項目としては、次のようなものがある。
(1) 臨時損益
イ 固定資産売却損益
ロ 転売以外の目的で取得した有価証券の売却損益
ハ 災害による損失
(2) 前期損益修正
イ 過年度における引当金の過不足修正額
ロ 過年度における減価償却の過不足修正額
ハ 過年度におけるたな卸資産評価の訂正額
なお、特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。

 

しかし、業界によってはこの「臨時収入」売上がメインになる業界があります。例えば。。。サッカーのJリーグ・クラブです。

 

Jクラブの売上と優勝賞金

Jクラブ個別経営情報開示資料(平成30年度)
※3月決算の4クラブ(柏、湘南、磐田、YS横浜)を除く50クラブ

表が小さいので、是非Jリーグの公式資料をご覧ください。

 

Jクラブ個別経営情報開示資料(平成30年度)では、各J1クラブの経営成績(P/LとB/S)が列挙されています。Jクラブの売上の基本構成は、①スポンサー収入、②入場料収入、③その他収入、④Jリーグ分配金、⑤物販収入、⑥アカデミー関連収入…という順番に比率が高いです。

2018年のJ1クラブの売上は過去最高を記録しました。

様々なクラブが営業収益を増加させている中でも、 ヴィッセル神戸はJリーグ史上最高営業収益96.6億円を計上し、100億円まであと一歩というところまできています。
参考までにこれまでの最高額は、2017年浦和レッズ の79.7億円となりますので、その水準を神戸が大きく上回り、最高記録を樹立したということになります。

2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録 より抜粋・引用

 

サッカーのJクラブは野球球団のようにクラブ名に企業名を入れることはできません。欧州をモデルとした地域に根ざしたクラブ運営を目指したため、Jリーグはチーム名に企業名を冠することを禁止しているのです。

 

2018年の鹿島アントラーズの売上総額は75億円と好成績です。これは鹿島アントラーズが賞金という『臨時収入』を獲得して「その他売上」を通じて売上総額を押し上げたことも一因になっています。

Jリーグの国内3大賞金
・J1優勝:3億円
・ルヴァンカップ:優勝:1億5000万円
・天皇杯優勝:1億5000万円

です。鹿島はそれぞれ3位、ベスト4、ベスト4の成績なので国内獲得賞金はそれほど大きくありません。しかし

AFCチャンピオンズリーグ2018でアジア優勝
・400万ドル(約4億5000万円)

を得ているので、他クラブよりも「その他収入」が大きくなったのです。

 

賞金を「臨時収入」と言ってはJクラブに対して失礼でしょうが、どのクラブが目指しても賞金を獲得できるクラブは一部のクラブです。そういう視点からは、AFCチャンピオンズリーグの優勝賞金は、やっぱり「臨時収入」です。

 

超大物選手獲得の場合は3年償却

スペインの名門FCバルセロナの天才MFイニエスタ選手のヴィッセル神戸への移籍は2018年の大きな話題でした。今回の移籍の場合は「移籍金ゼロ」なのですが、3年契約で32億5000万円(3年で合計100億円超)といわれる年棒は、従来のJリーグ選手とケタが文字通り違います。2018年のJ1クラブの平均人件費は1チーム約23億円です。

この年棒をカバーするために、ヴィッセル神戸のスポンサーである「楽天」グループからのスポンサー収入が跳ね上がり、ヴィッセル神戸の売上総額・人件費総額は他クラブも羨む突出した金額になっています。

 

ちなみに超大物選手獲得の移籍金は3年償却という会計処理基準は知りませんでした。どこからが「超大物」扱いなのでしょう?(もちろん、金額基準が回答です)

A:木村専務理事
鋭いご指摘で、クラブによっていろいろな考え方があると思います。クラブ経営が傾いてきたときのための安定資本、超大物選手獲得の場合は3年償却となりますので、仮に移籍金が30億円の場合は、会計上は1年目で10億円、2年目で10億円、3年目で10億円という思い切った投資をするために内部留保を積んでおく、自前でスタジアムを作るために積んでおくなど、色々な形があると思います。やはり地域の方々や色々なステークホルダーの方々と会話を進めながら各クラブでご判断されることだと思います。

2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録 より抜粋・引用

 

Jクラブの運営

クラブ の経営安定化を主目的として、クラブライセンスの交付に対する財務基準があります。

債務超過禁止および3期連続赤字禁止
(3期以上連続で赤字が発生したとしても、連続赤字の最終年度における期末純資産残高が当該年度の赤字額の絶対値を上回っている場合を除く)

経営の安定と魅力あるチーム作り(人件費の高騰)は相反関係にあります。この辺りは企業経営と同じで、各クラブの経営手腕の見せ所といったところですね。

A:木村専務理事
一般的に誤解されていると思っていますが、サッカーの興行を生業としていますので、経営の安定がいちばん大事です。黒字を何十年も続けて結果的に魅力的ではないチームを作ることにつながってしまう可能性もありますし、また、ギリギリの予算でチャレンジして、最後は雨の日の試合の数や読めない部分などもあって残念ながら最終的な赤字にはなってしまう可能性もあります。つまり、単年度の赤字、黒字だけで経営を判断するのは少々乱暴かなと思っています。

ファン・サポーターは勝ってほしい、魅力的なサッカーをしてほしいと思っていますので、金額の予想を立てて、それにできるだけ近づけた選手強化予算を立て、決算を着地させていくというスタンスの方が良いかなと思います。

少し極端な言い方ですが、黒字を出そうとすれば、選手強化予算を削れば比較的高まりますので、そのあたりが難しいところではあります。どちらかというと収入をしっかり伸ばしていくことが大切です。もちろんJ1に比べてJ2・J3は収入を得にくくなるのが現実ですが、その中でしっかり収入を伸ばしていく努力が必要だと思います。

2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録 より抜粋・引用

 

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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