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カテゴリ:企業再生

別会社で再スタート

昨年2019年11月29日に、呉服や和装品の販売を手掛けていた(株)かのこが破産申請になりました。

(株)かのこ(東京:資本金3000万円)は11月29日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。負債総額は約4億円。

呉服や和装品の販売を手掛け、ショッピングモール内などに10店舗(2019年11月29日現在)を構えていた。過去には30億円以上の年間売上高をあげていた。しかし、近年は和装の需要低迷などから売上は落ち込み、利益も赤字が続き、約13億円の債務超過に陥っていた。業況が改善しないなか、事業継続も困難となり今回の措置となった。

TSR大型倒産速報 2019.12.03配信より抜粋・引用(一部省略)

(株)かのこは、2000年2月に会社更生法となって経営破綻した大手スーパー「長崎屋」の呉服販売部門が前身です。急速に経営悪化する「長崎屋」の子会社整理の一環で、1999年12月に、従業員が独立する形で設立した新会社に呉服販売部門を事業譲渡して再スタートを切った会社でした。

 

ヤマノホールディングスの下で、新たなスタート

「長崎屋」から分離して「かのこ」として再スタートしてから、20年を経て残念ながら和装市場の縮小の波に飲まれて経営破綻となりますが、運営店舗10店舗のうち8店舗がヤマノホールディングス(東証JASDAQ 7571)に事業譲渡によって引き継がれての破産なので、ヤマノホールディングスの下で、新たなスタートを切ることが出来そうです。ちなみにヤマノホールディングは『伝説の美容師 山野愛子(1995年没)』が創設したヤマノグループです。

事業譲受の概要
(1)譲受部門の内容
「かのこ」が運営する和装品小売販売店舗10店舗(2019年11月29日現在)のうち、一部店舗を対象としております。

(2)譲受部門の直前事業年度(2019年2月期)における経営成績
※当該譲受部門の損益を作成していないため、2019年2月末現在の「かのこ」14店舗の業績を記載しております。
売上高 1,333百万円
経常利益 △92百万円

(3)譲受資産及び負債の項目
譲受対象店舗に係る商品、有形固定資産(建物、器具備品)等の資産のほか、店舗の営業継続に係る債務の一部を譲り受けます。

(4)譲受価額及び決済方法
譲受価額 30百万円
決済方法 現金による決済によります。

ヤマノホールディングス(東証JASDAQ 7571)IR「事業の一部の譲受に関するお知らせ」及び「2020年3月期 第3四半期決算短信」より。

 

 

同じ経営破綻でも、法的手続による負債削減により事業継続を図る民事再生法や会社更生法と違って、破産では事業は消滅し会社(法人格)も消滅します。会社の資産が整理されるだけでなく、顧客との関係や従業員の雇用関係という無形資産も消滅してしまうのです。

今回の「かのこ」は2019年11月29日に事業譲渡と破産申請が同日に実施されていて、裁判所も含めて事前合意が取れていた「プレパッケージ型破産」形態でした。自力再建はとても不可能だったと推察され、別スポンサーの下での事業・雇用関係の維持と、店舗の営業継続に係る債務の一部の引き受け・清算費用の減少を考慮すると、「かのこ」の債権者に対しても経済的合理性があったのだと思います。

 

「かのこ」の親会社だった「長崎屋」も、現在は「ドン・キホーテ」の傘下で「ドン・キホーテ」に名前を変えて再スタートしている店舗も多いです。

 

このように事業にそれなりに魅力が残っていれば、全ては無理でも事業の一部を何らかの形で残すことが可能になります。

 

事業継続は無理でも、従業員の雇用を維持できたケース

(株)NOZY珈琲(東京 資本金2,260万円)は12月11 日、東京地裁へ破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。負債総額約1億1,000万円。

コーヒー豆の焙煎や販売を手掛けるほか、三宿でカフェを運営していた。1つのエリアから採れたコーヒー豆のみを使う、シングルオリジンコーヒーで一定のファンを獲得。そのほか、コーヒーの飲み比べや焙煎体験セミナーなども開催し、知名度アップに努めていた。2014年に木更津でカフェをオープンしたが、集客が進まず赤字経営に陥り2017年に閉店。

その後、事業は継続するも、赤字が続き、税金の滞納も発生。資金調達も厳しさを増し、2019年12月10日に事業を停止した。
なお、従業員は業務提携をしていた別会社に引き継がれている。

TSR大型倒産速報 2019.12.18配信より抜粋・引用(一部省略)

NOZY珈琲の経営破綻の場合は、店舗運営を引き継ぐスポンサーを得ることなく消滅型の破産でした。それでも従業員を業務提携していた別会社に引き継いでもらう等、何とか周囲への被害を抑えようとしていた経営者の態度が窺い知れます。

同じ経営破綻でも、事業の畳み方に経営者の生き様が現れると思います。全てを放り投げて逃亡してしまう様な経営者も居れば、今回紹介したケースのように何とか事業・店舗・雇用を一部でも守ろう・残そうとする経営者も居ます。

 

経営者本人は自己破産になるかもしれませんが、事業の畳み方に努力をした姿を周囲はしっかり見ています。自己破産は経済的な一時的避難行為であって、経営者の人生はまだまだ続くのです。その経験を糧に次の挑戦を始める際、経営者の努力を見た周囲の中に、その挑戦をサポートしてくれる人が少なからずきっと居ると、私は信じています。

 

企業再生人® 小澤隆
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