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経営者が直面する「身もふたもない事実」~ベン・ホロウィッツ「Hard Things」

アメリカのトップベンチャーキャピタリストのベン・ホロウィッツが、自分の起業、経営経験をベースに書いたHard Thingsを読んでいる。

 

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか
(日経BP社 ベン ホロウィッツ (著), 滑川 海彦 (翻訳), 高橋 信夫 (翻訳)他)

 

前に取り上げたマーク・アンドリーセンの相棒だ。この二人のベンチャー投資会社がアンドリーセンホロビッツである。

投資ポートフォリオを見るだけで、まさにこの投資会社が、イマドキの僕たちの生活環境をどんどん変化させていっていることが実感できるはずだ。AirBnB、フェイスブック等々。

 

そのホロビッツが書いた本が結構ベストセラーランキングの上位に居続けている。

インターネットのベンチャーキャピタリストというから、派手な先入観を持つ人も多いかもしれないのは、そこで書かれているのは、資金調達から、リストラに至るまでの不都合な現実ばかりである。世界を変えている新しい企業群も、決して口笛吹いて、スキップしながら経営しているわけではないという当たり前の事実が理解できる。

 

この本には、経営経験のない人が書いた本にはない、ハンパない切迫感がある。

破綻の瀬戸際で生き延びた元CEOは、きれいごとではない「きっつい事実」で率直に語ってくれる。経営の現場にいる人間にとっては宝物のような言葉で満ちている。

働き方改革などいうタテマエの言葉が流通しているが、企業の現場に近づけば近づくほどそれが真剣に働いたことのないシロウトたちによる空語であることが明らかになっていく。

働く人の視点に立った働き方改革の意義(基本的考え方)より

 

働き方改革というタテマエが現実というホンネの頑強な抵抗にあうのはなぜなのだろう。

答えは、簡単で、働き方改革によって「自分が失うものが多い」と考える経営者、社員が多いからだ。

しかし働き方改革は急を要している。人手不足によって倒産する会社は、外食や小売以外にも広がって行くことになる。

本当に生き延びていくためには、企業の経営者は、ホロウィッツが語る、身もふたもない事実を直視しなければならない。

 

数多い、キッツイ事実の中から、働き方改革の空語を一撃で即死させてしまうインパクトのある引用を一つ。

社員が会社を辞める二つの理由

マネジャーが嫌い
一般に社員は、自分が受けた指導、キャリア開発、そしてフィードバックのなさに愛想をつかしている

何も教えられていない
社員が新たなスキルを身につけるため、会社は投資をしていなかった》

真実は身もふたもないが、案外シンプルなのだ。

 


【書評:By 紙魚】

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