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夏休み特別企画 ショートショート『人生の贈り物』

夏休み特別企画
ショートショート「人生の贈り物」
原作:スペンサー・ジョンソン 訳:門田美鈴 (1995年ダイヤモンド社 2001年扶桑社)
改編:珈琲順太(セカンド・オピニオン社)
( 本ショートショートは原作をベースに、現代風にアレンジしたものです。)

 

ショートショート「人生の贈り物」

少年がいました。

ある日、父親から不思議なプレゼントの事を聞きました。
それは、とてもかけがえのない特別な贈り物なんだ。」と父親は穏やかに言いました。
どんなものより素晴らしいんだよ、と。
どんなふうに?と少年が聞くと、父親は答えました。
「それをもらった人は、ずっといつまでも、幸せでいられるんだ」
「へぇ~っ!ボクもそのプレゼントが欲しいな。きっとクリスマスに貰えるね」
そう言うと、遊びに行ってしまいました。父親は微笑みを浮かべています。

 

少年は父親の言った贈り物のことを考えてみました。
かけがえのないプレゼントというのはー、
誕生日にもらった自転車とか、クリスマスの朝にツリーの下に置いてあった贈り物かな?
でも・・・・ 自転車もオモチャも、しばらくは夢中になるけど、そのうち飽きてしまうよな。
そう思うと、なんだか落ち着かなくなりました。

「 じゃあ、かけがえのないプレゼントと言うのは、どんなものだろう?
どんなものより素晴らしいものって何だろう?
ずっと、いつまでも幸せにしてくれるものって、どんなものだろう?」
そんなものはとても思いつきません。そこで、父親のところへ行って聞きました。

「 かけがえのないプレゼントって、テレビに出てくるドラえもんみたいなもの?
何でも願いを叶えてくれるし、友達にもなってくれる。」
「 いいや、違うよ。かけがえのないプレゼントは、願い事とは関係がないんだ。」

 

やがて少年は大きくなりましたが、やっぱりわかりませんでした。また父親に尋ねます。
「 かけがえのないプレゼントって、スマホのこと?
色んなところの友達といつでも繋がるし、遊ぶこともできる便利なモノ?」
「いいや」父親は静かにこたえました。
「かけがえのないプレゼントを手に入れたら、どこにいようと心から満足していられるんだ。」

 

少年は若者になり、尋ねるのがバカバカしくなりました。でも、あまり幸せではありませんでした。
成長するにつれ、ものごとは自分の思い通りにはならないということがわかってきたのです。
彼は思い切って聞いてみました。

「かけがえのない、プレゼントというのは、遺産のことですか?実は本当はお金持ちで。」
「いや、そうじゃないよ」と父親は言います。
「 確かに、なかなか金持ちにはなれないがね。
だけど、かけがえのないプレゼントは。それ自体が財産なんだよ。」
若者はしばらく考えている内に、なんだかイライラしてきました。
「 父さんは言ったよね、そのプレゼントを手に入れたら、いつまでも幸せでいられるって。
きっと僕は子供のとき、それを貰い忘れたんだ。」
「どうも、わかっていないようだね。」と父親が言いました。
「 かけがえのないプレゼントというものが何か、君にはわかっているんだよ。
それが何処にあるかもわかっている。なぜそれを手に入れると幸せになれるかということも。
それがどんなものより素晴らしいものだってことは、子供の頃にわかっていたんだ。
ただ、忘れているだけなんだよ。」

若者はその場を去り、考えてみました。しかし、時が経つにつれて、苛立ちは募り、しまいには腹立だしくなりました。そこで父親に問いただしたのです。
「僕の幸せを思うならー 」 若者は叫ぶように言いました。
「かけがえのないプレゼントが何なのか、教えてくれたっていいじゃないですか!」
「何処にあるかということもかい?」
「ええ、その通りです。」
「そうしたいんだよ。」 父親は言いました。
「 だが、私にはその力がない。誰にもないんだ。君を幸せにする力は君にしかないんだ。
君にしかね。
かけがえのないプレゼントは人が貰うものではないよ。自分が自分に与えるものなんだ。」
若者はわけがわからなくなりましたが、心を決めました。ようし、自分で見つけてみせる!

 

そして・・・・
バックに荷物をつめて家を出ました。
かけがえのないプレゼントを探す旅、自分自身を探す旅です。
一人暮らしもしました。バイトでお金を貯めて、バックパッカーの旅もしました。
旅の途中で知りあった女性と恋も謳歌しました。 でも・・・
何年もの間、苦労を重ねて、とうとう彼はかけがえのないプレゼントを探すのが嫌になりました。

 

新しく出る本を片端から読み漁り、日経新聞やウォールストリート・ジャーナルにも目を通しました。
就職して、さらにお金を貯めて、海外留学も経験しました。自己啓発セミナーに参加したり、心理学も学んでみました。鏡を覗いて自分に問いかけ、他の人たちの表情にも注意し、手掛かりを掴もうとしました。

どうしてもそのプレゼントを見つけたかったのです。
でも、まったく無駄でした。懸命に探し回って、彼はもうへとへとです。
ついには病気になってしまいました。
それでも、なぜ見つからないかわかりません。

 

若者はくたびれ果てて、父親のところに帰ってきました。父親は喜んで迎えてくれました。2人はいつも微笑みを交わし、時には声をあげて笑いました。一緒にいると幸せでした。
それは・・・ 父親自身が幸せだからではないだろうか・・・・ そんな気がしました。

 

父親の暮らしはあまり豊かではありません。それほどお金があるようには見えませんし、大抵は独りぼっちでいるようです。他の人よりずっと幸せで元気でいるなんて、わけがわかりません。
でも父親は幸せなのです。それに彼と一緒にいると、誰でも幸せな気持ちになるのです。不思議に思いながら、彼は、今の自分の家に戻りました。

 

何年もの月日が経ち、かつての若者は再びあのかけがえのないプレゼントのことを思い出しました。そして、以前にも増して欲しいと思う様になりました。今やひどく不幸で、病気にかかることも多くなっています。また父親に会いたくなりました。
しかし、父親は年を取り、まもなくこの世を去ってしまいました。彼の言葉を聞くことは、もう出来ないのです。

 

男は孤独でした。

 

初めは、親しい肉親を亡くしたことを悲しみました。
それから、恐ろしくなりました。
どうしたら幸せになれるか、永久にわかならいかもしれない・・・・
そう思って、ぞっとしたのです。
そうして・・・・

 

ようやく彼は本当のことを認める気になりました。
自分の幸せは自分で見つけるしかないのです。
惨めな気持ちで彼は、何年も前に、あの幸せに満ちた父親が言ったことを思い起こしました。しかし、いくら考えてもどういうことかわかりません。父親は何と言っていたろう?

 

「 かけがえのないプレゼントは、願いごととは関係がない。
かけがえのないプレゼントを手に入れたなら、何処にいようと心から満足していられるんだ。
かけがえのないプレゼントは。それ自体が財産なんだよ。
かけがえのないプレゼントは人から貰うものではないよ。自分が自分に与えるものなんだ。」

男は不幸で、かけがえのないプレゼントを探すのがほとほと嫌になりました。それでも、ずっと探し続けてきたので、今更諦めることは出来ません。

そうして・・・・ 突然わかったのです!
彼にもどうしてそうなったかわかりません。ただ、わかったのです!

 

かけがえのないプレゼントとは、プレゼント、つまり現在のことだとわかったのです!
過去でもなく
未来でもなく
かけがえのない現在です。

 

現在の瞬間というのは、常にかけがえのないものです。それがまったく完全なものだからではありません。完全なものに思えないことの方が普通です。現在がかけがえのないのは、その時点では、それが全てだからです。あるがままの状態が。

たちまち男は幸せになりました。まさにかけがえのない現在(プレゼント)を生きているのがわかったのです。彼は爽やかな空にバンザイをしました。何だか嬉しくて・・・。 しばらくの間は・・・・。

 

まもなく、気づいたときと同様に、瞬く間に喜びは消えてしまいました。彼はゆっくり手を下ろし、ひたいに手をあて、眉をひそめました。再び、不幸になったのです。

「なぜ・・・ こんなわかりきったことに、もっと早く気付かなかったんだろう?
なぜ、かけがえのない時間を、むざむざ無駄にしてしまったんだろう?
現在を生きるようになるまで、なぜこんなに長いこと時間をかけてしまったんだろう?」

 

彼は、かけがえのないプレゼントを求めて世界中を歩き回ったあの虚しい旅を振り返って、多くの幸せを逃してしまったことに気づきました。これまでいつも、「何か足りないものがある」と感じていました。その時その場所に生きているという現実を生きてはいなかったのです。
多くのものをみすみす逃したと思うと、たまらなく悲しくなりました。彼は自分を責め続け、それから自分のしていることに気づきました。過去の至らなかったことに拘り、それに囚われていたのです。

 

男は自分が不幸で、過去を生きていることに気付き、現在に戻ってきました。
また幸せになりました。

 

ところが今度は、未来のことが心配になったのです。明日もかけがえのない現在を生きて幸せでいられるだろうか?それから未来を生きていることに気付いて、苦笑いしました。亡くなった父親の声が聞こえてくるようです。

「 過去のことを振り返り、教訓を見出すのは賢明なことだ。
しかし、過去を生きるのは賢明なことではない。それは現在の自分を否定することだから。
未来のことを考え、準備するのは賢明なことだ。
しかし、未来を生きるのは賢明なことではない。それも現在の自分を否定することだから。

そして、自分を否定することは、何よりも大事なものを否定することだ。

現在を生きることは簡単なことではありません。何度も何度も繰り返すことによって身につくことなのです。男は、なぜ父親が幸せそうだったのかわかりました。彼は現在を生きていたのです。父親の声と彼の声が重なりだしました。

「 いま、幸せになることができる。
いつか何かをして幸せになると思うこともできる。
それは私の選択だ。私は迷わず、いまを選ぶ。

このかけがえのないプレゼントを、若いときに手に入れる人がいる。
中年になって手に入れる人もいる。
そして、ずっと年を取ってから手に入れる人もいる。
悲しいことに、手に入れられない人もいる。
私は、このかけがえのないプレゼントを、いつでも手にいれることができるのだ。」

 

男は安らぎを感じていました。人生のそれぞれの瞬間を、良いことも悪いことも、まるごと味わおうと思いました。理解できなくてもいいのです。彼にとって、初めてそれは問題でなくなりました。この地球上で、生きている瞬間瞬間を、贈り物として受け入れたのです。

「 思いどおりにいかなかった過去を悔み、どうなるかわからない未来を思い煩うのは
現在を生きていないということだ。それは、苦しく、惨めで、不幸なことだ。
私が探していた、かけがえのないプレゼントとは、今現在あるがままの自分のことだ。
かけがえのないプレゼントは、自分から、自分に与える、かけがえのない贈り物なのだ。」

 

男は、今現在あるがままの自分でいて、居心地よく感じました。
持っているものにも
知っていることにも
充足していました。彼は満足していたのです、今現在に!
ついに、彼はかけがえのないプレゼントを見つけ、手に入れたのです。

そして、心から幸せでした。

 

夏休みに、いろんな子供達を見ていて、このショートショートを紹介してみたいと思いました。

原作は、もう少し続きます。ご興味のある方は、是非、本を探して続きを見つけて下さい。
太陽の下で元気に遊ぶ子供、大学病院の小児病棟で闘病中の子供、
不幸な事故・病気でこの世を去った子供、海外で学校を待ち望む子供・・・
夏休みに、いろんな子供達を見ていて、このショートショートを紹介してみたいと思いました。

セカンド・オピニオン社の皆様、関係者の皆様、夏休み期間中も精力的に働いて頂いて、ありがとうございました!

 


  珈琲 順太
仕事の合間にちょっと一息「コラム」をどうぞ!

 

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