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カテゴリ:企業再生

デューデリジェンスでの失敗談

「デューデリジェンス」という言葉を聞いたことがありますか? 声に出すと比較的長い言葉なので、「デューディリ」「デューデリ」や「DD」と略して使うことが多いです。

デューディリジェンス(Due diligence)とは、ある行為者の行為結果責任をその行為者が法的に負うべきか負うべきでないかを決定する際に、その行為者がその行為に先んじて払ってしかるべき正当な注意義務及び努力のことで、転じて投資やM&Aなどの取引に際して行われる、対象企業や不動産・金融商品などの資産の調査活動である。

ウィキペディア『デューデリジェンス』より抜粋・引用

企業再生やM&Aでは、主として適正な企業価値評価を行うための「投資対象の事前調査」を意味しています。

 

なぜ外部アドバイザーにデューディリジェンス(Due diligence)を頼むのか?

企業価値といっても、色々な側面があります。それらに合わせてリスク把握をすることになります。

 

財務デューデリジェンス
一番比重が大きいDDはこの「財務」です。会社の決算書は正しいのか?簿外債務はないのか?会社の収益力は正しいのか?etc。基本的は過去記録(決算書)の調査ですが、収益予測や資金予測など、将来事業計画の妥当性の判断をすることもあります。
企業評価(会社や投資の値段設定)に直結するので比重が大きくなります。

法務デューデリジェンス
会社取引における契約や許認可・権利関係、債権債務、抱えている訴訟案件etcの妥当性・リスク評価をします。既に顕在化している法務リスクだけでなく、潜在的法務リスクを評価します。

税務デューデリジェンス
過去の税務申告上、修正や追徴課税等を受けるリスクを評価します。以外に見落とされがちですが、第三者の視点で見ると必ず何かの問題点が出てきます。

 

その他にも、市場の中での「ビジネスデューデリジェンス」、キーパーソン特定や従業員の能力評価・給与水準妥当性評価を主眼とした「人事デューデリジェンス」、ITシステムを評価する「ITデューデリジェンス」、製造業であれば環境問題を評価する「環境デューデリジェンス」、所有不動産の評価をする「不動産デューデリジェンス」と、会社に関する評価対象・リスク対象は山ほどあって、数え切れません。

これらを全て網羅して1社や1人がデューデリジェンス出来ません。このため、財務DDなら監査法人や会計士、法務DDなら弁護士法人・弁護士、税務DDなら税理士法人・税理士といった具合に、各専門家に依頼するのが一般的です。

 

100%保証のデューデリジェンスなんてあり得ない

投資する側から見れば「可能な限りの問題点を洗い出したい」と思うのが人情ですが、調査対象の全てを100%保証できる問題点把握は不可能です。

自分自身を振り返ってみましょう。たとえ現在の自分の会社や帰属する会社の問題点を100%洗い出せと言われても、あなたを含め社内の誰にも不可能だと思います。「自分のことだけれども、客観的に完全評価する」ことなんて出来る訳がないのです。まして外部から来た第三者が限られた資料・時間でDD対象の全てを把握出来ると思うのは幻想でしかありません。

 

デューデリジェンスの報告書を見れば、冒頭に「DDによる責任限定」が強調されているのがお分かりになると思います。これはDD実施者の一方的な法的責任回避でなく、「DDとはそういうモノなんです」と婉曲的に表現しているのです。

 

100%は無理でも、100%に近づけていくのは可能です。しかしそれにはコスト・時間が膨大に掛かっていきます。外部アドバイザーの時間を膨大に投入していくと、スグに億単位のコストになってしまいます。「投資をストップさせるような問題点・リスクの大きさ」に焦点を合わせ、調査内容設定とDDにかけるコストをバランスさせるのは、それを依頼する側の経営センスに大きく依存しているのです。

 

デューデリジェンスでの失敗談 ①サービスメニュー

弊社が設立間もないころ、財務DDを弊社サービスメニューに含めていました。M&Aや企業再生投資の経験のある方とはDD実施に関する合意形成が簡単でしたが、弊社のターゲットである「中小企業再生」の規模だと、投資を考える側も経験が浅く、

「DDに掛けるコストは出来るだけ削減したい」
「でも、お金を払う以上、DDによって問題点を洗い出し、DD後に問題があればそれを保証して欲しい

のような無茶を平気でいう方もいました。特に「DD後に問題があればそれを保証して欲しい」という点に関しては、DD実施者が受けられるハズもなく、そういう考え方で企業再生投資やM&Aを進めても大失敗の結果しかあり得ないので、早々にお断りしました。

 

こういう経験もあって、弊社の主ビジネスは企業再生でありDDのみの単独サービス提供は「リスクの割に成果に乏しい」と判断して、サービス提供メニューから外し、現在に至っています。

 

デューデリジェンスでの失敗談 ②DD内製化

DDに関しては、弊社では苦い経験が幾つかあります。その一つが「DD内製化」です。

私自身が会計士ということもあって、自分で企業再生投資DDをすることをしていた時期がありました。特に弊社創業序盤では、人もお金も揃っておらず、「出来ることは自分で!その分コスト削減と投資スピードが上がる!」と考えていたのです。

 

その結果は、「投資意思決定者がDD実施者を兼任すると、中立的な判断が出来なくなる」という事態を引き起こしました。

 

再生案件となる中小企業は、粉飾決算をはじめリスクテンコ盛りです。それらのリスクをDD実施者として把握していくと、リスク過敏になって投資実行の意思決定が怖くなるのです。逆に「この企業再生投資は実施したい」という変な先入観を持ってDDを実施すると、目が曇ってDD実施手続が甘くなり、企業再生投資後に簿外負債が発覚した!という会計士とは思えない大ポカをやらかしたこともありました。

 

勿論、どんな場合でも常に中立的な立場でDDに臨むことが可能な方も多いと思います。ただ、私自身に限って言うと、自分の未熟さを考慮してDDは外部専門家に依頼するか、内部実施であっても自分自身は手を出さずレビューに徹するという選択をしています。

DDに掛かるコストはそれなりの金額になりますが、100%は無理でも、後で致命的な地雷を踏まないための保険料と割り切るのが大事だと思っています。

 

セカンド・オピニオン㈱代表取締役
企業再生人® 小澤隆
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